簿記検定・税理士受験生の常識バイブル-第2回-

チェック

税理士試験科目

  • 簿記論
  • 財務諸表論
  • 法人税法
  • 所得税法
  • 相続税法
  • 消費税法
  • 事業税
  • 住民税
  • 固定資産税
  • 酒税
  • 国税徴収法

受験科目のリストです。合格科目5科目のうち会計科目は必須科目、税法科目のうち法人税・所得税はどちらか必ず選択しなければなりません。

過去のバックナンバー

本試験を解く前にやって欲しいこと、絶対にやってはいけないことなど特集。

税理士試験の科目選択についての特集。

税理士試験の1日の勉強時間ついての特集。

試験問題の難易度が過去と比較して上がっているのかについての特集。

日商簿記検定1級と税理士試験簿記論はどちらが難しいかについての特集。

  • 第6回
  • 古いテキストはそのまま使えるのかについての特集。

    参考(廃刊)

    旧税理士受験生の独り言廃刊になりましたが、参考ということで残しておきます。



    税理士試験科目の選択について

    今回は、税理士試験を受験される方の為に科目の選択について考えてみたいと思います。

    税理士試験は全11科目のうち5科目を選択して合格すれば官報合格となります。この5科目のうち会計科目2科目と税法科目のうち法人税法と所得税法は必ずどちらか選択して合格しなければならない事になっています。さて、これから税理士試験を目指そうという方に読んで頂ければと思い、科目の選択で悩まれている方の参考になればと思います。また、ここに書かれている事はあくまで一般的に言われていることをまとめたもので、最終的な判断はご自身でお願いします。

    さて、8月の試験が終わり来年の税理士試験に向かって専門学校の新しいカリキュラムが始まります。ほとんどの方は受験専門校で学ばれる(独学は非常に厳しい)と思うのですが、ある程度税理士試験の事を理解していないといきなり大すべりする事になります。つまり何の情報も持たずに税理士試験を目指そうとされる方は、ついつい欲張って勉強されようとします。1年間あるから一気に5科目勉強するかーみたいな・・・

    それは知ってる人間から見たら無謀以外の何物でもないと思うはずです。ええ、税理士試験は1年で1科目合格出来れば上出来の試験なのです。それは税理士試験の5科目合格、いわゆる官報合格者の勉強期間が平均7、8年と言われるだけあって長丁場の試験になるからなのです。

    まずは1年1科目合格を目指そう!

    まずは1年1科目ずつ合格する事を目指すのが良いかと思います。これでも順調に行けば5年で税理士になれます。平均よりも抜けるのは早いのですから十分では無いでしょうか。もし、この時点でそんなに悠長に構えていられないという方は税理士試験には向いてないと思われます。税理士試験は合格までにやたら年数が掛かる試験だと認識して下さい。

    そこで最初の勉強科目ですが、ほとんどの方は簿記論を勉強されるかと思います。というのは簿記検定を受検された方がその延長で税理士試験にチャレンジするパターンが多いので、必然的に簿記論の受験生も多いのです。私も最初の科目は簿記論をお勧めします。日商簿記検定2級のレベルがあれば最初の導入はすんなり入っていけますし、受験生の数も多いので情報も集まりやすいですし、その後の税法を学ぶ上での基礎となる科目ですから必然と言えば必然でしょう。

    またボリューム的にもそこそこありますので、簿記論で1年間やってみると大体の自分のレベルが分かります。それを基準に2年目以降の計画が比較的立てやすいメリットもあるのです。もちろん税法から始めるのが悪いとは言いません。酒税や相続税法など個人的に興味を惹くような科目を勉強するのなら、それはそれでいいと思います。ただ、どの科目から始めるにしてもやっぱり1年1科目が基本だと思います。

    受験専念組みは複数科目を狙おう!

    先ほどは1年1科目が基本だと言いました。ところが受験を専念するために1日の時間に制約の無い方、あるいは残業もほどんど無いような社会人の方はは複数科目を狙うべきです。仕事を抱えながらの受験生活ですと、1日の勉強時間は限られてきます。せいぜい2~3時間ではないでしょうか。受験に専念することで1日に6時間も8時間も取れる方は、逆に社会人受験生と同じような計画だともったいないと思います。遠慮は無用です!2科目あるいは3科目を選択し、複数科目合格を狙いましょう。

    ただ、その場合でも決して4科目以上は選択しない方が良いでしょう。どれだけ時間があっても人間が集中できる時間は限られます。短期間なら毎日10時間勉強できたとしても、1年間もそれを続ける生活となるとちょっと無謀ではないでしょうか。税理士試験を初めて勉強される方なら、簿記論・財務諸表論をセットで学習するのが良いと思います。更に本気モードになれる覚悟があれば、プラスアルファでミニ税法を選択して3科目勉強してもいいでしょう。

    複数科目を選択する際に考えて欲しいのは、関連性のある科目を選択することです。つまり簿記論と財務諸表論は学習項目がリンクしているので、重複している部分が多く、講義を受ける事で簿記論、あるいは財務諸表論の復習にもなるので非常に効率が良いのです。普通なら2倍の労力を要するところを1.5倍くらいの労力で合格レベルに達しますから非常にお得だと思います。税法なら法人税法と事業税、所得税法と住民税といった具合に関連性の強い科目は一緒に勉強すると効率は良いです。

    合格重視か実務重視か・・・

    会計科目と税法科目のうち法人税法又は所得税法は必須科目ですが、他の税法2科目については純粋に受験生に選択権があります。この2科目ですが、どの科目を選択するかによって労力が違ってきます。つまり法人税法、所得税法、相続税法などの国税3法はボリュームもあって合格レベルに達するまでが大変なのですが、いわゆるミニ税法と呼ばれているその他科目については1年で比較的合格レベルに達することが可能です。なので合格までの年数だけを考えると残りの2科目をミニ税法で固めるのも1つの手だと思います。特に複数科目を勉強される方は、これらミニ税法を含める事によりゆとりを持つ事も可能だからです。

    ただ、実務を考えるとどうでしょうか。将来税理士になった時に役に立つのは法人税法や所得税法などで、ミニ税法は消費税法は確かに実務では必要不可欠ですが、その他科目についてはそれほど大した事はありません。合格の為に将来あまり役に立たない科目を勉強するのも微妙ではありますが、合格しないと何も始まらない事を考えると戦略としては間違っていない気がします。

    最後に勘違いして欲しくないのですが、ミニ税法をやったからと言って合格が早くなるかというとそんな事はありません。税理士試験は競争試験なので、合格する難しさは基本的には同じなのです。学習する項目が少ないので、比較的早く本試験レベルに達するだけで、むしろハイレベルの戦いになるので運に左右される要素も大きいです。くじ運の悪い人はミニ税法はお勧め出来ないです(笑)。

    さあ、税理士試験のことについて少しは理解が進みましたでしょうか。税理士試験を合格するための秘訣はもしかしたら継続させることにあるのかも知れません。というのも受験生活が長い為に5科目に達する前に燃え尽きてフェードアウトする人が多いのです。税理士試験は努力の試験と表現されるように、とびきり天才でなければ合格出来ない試験では決してないでしょう。フルマラソン並みに、長くて孤独な道を走り続ける事が、税理士試験の本当の姿だと理解出来たあなたは、無理のない完走計画を立てて下さい。最初から飛ばすと必ず息切れを起こします。苦しくても我慢すること。スパートは最後の最後でいいと思います。

    また、一度立ち止るとなかなか再び走り出す力は残ってないものです。また、だからと言って歩いていてはいつまで経ってもゴールに辿り着かないでしょう。税理士試験はフルマラソンに例えるのがピッタリはまるように、長くて苦しい戦いなんです。スタートしてからゴールまで完走するのはわずか2~3%なんです。目先の合格科目よりも長く勉強できる環境を構築して、家族・会社の理解を得られるようゴールを目指して頑張りましょう。

    そして最後にもう一度言います。税理士試験は1年で1科目合格出来れば優秀です。基本的に税法科目は、1年目では歯が立たないで2年目からが勝負になると思って下さい。