経理マンガ はやしくん(103万円の壁って何?)

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • HOMEへ戻る
  • バックナンバー

おばさん

あたし最近3級簿記講座でも出させてもらってるおばさんって言うんだけどさ、ちょいと相談があるの。
あたしスーパーのレジでパート勤めしてるんだけどさ、うちの旦那が今年の給料は103万円超えてないかってしつこく聞くのよ。 税金がどうのこうのって言うんだけど意味が分かんないのよね・・・

とまとちゃん

ここの管理人がズボラだからすっかりご無沙汰して私も久しぶりの登場で嬉しいわ。
おばさんのご相談内容なんだけど、年末はやはり同じことを考えてる人は多いと思います。旦那さんは会社勤めでしたよね?おばさんの場合は2つの理由で旦那さんがお聞きしているのだと思います。まずはおばさん自身の税金。そして旦那さんの税金。

おばさん

あらそうなの・・・
でも何で私のお給料が旦那の税金に影響してくるわけ?何かよく分かんないのよね。
私が稼ぎすぎてどこか遠くに消えて行くとでも思ってんのかしら。確かにもう愛はないけどさ(笑)
でも旦那を見捨ててどこか消えるようなヒドい女じゃないわよ。

とまとちゃん

もちろん分かってますよ(笑)
まず旦那さんはサラリーマンなので年末に年末調整という手続きで1年分の税金を確定させるの。その税金の計算の際に例えば奥様や子供がいて養って暮らしている場合などは、税金を少し軽減してあげる特典みたいな決まりがあったりするの。旦那さんはおばさんを養っていると判定されれば配偶者控除といって税金を優遇される特典があるのよ。
これを受けるためにはおばさんの年間の合計所得金額が38万円以下じゃないとダメなの。

はやしくん

ヤッホー!みんな元気ー?。
黙って聞いてりゃこのおばさん言いたい放題だよな(笑)
何が稼ぎすぎてどこか消えるだよ。旦那さんから絞りとってお小遣いだってほとんど渡してないんじゃないの?
まあ、可哀想な旦那さんのために相談は乗るけどさ、このままじゃ本当に旦那消えて困るのはあんたじゃないのか?

とまとちゃん

ちょ、あんた何いってんの!!!
本当にすいません(ペコペコ)。本当にこいつは頭おかしいんです。許して下さい。

おばさん

大丈夫よ、気にしてないわ~
この変な顔で思い出したけど最近うちのスーパーの試食コーナーを食い荒らしてる男にそっくりだわ。
まあ、あたしは慈悲深いから気にしてないんだけどさ、店長はえらく怒ってるわよ~(笑)それよりさっきの話だと38万円って言ってたけど103万円じゃなかったの?

とまとちゃん

えっ。。。食い荒らし??

しょーこさん

とまとちゃんが管理人を裏に連れて行ったので私が代わりにお答えしますね。
そうなんです。給与の年間収入103万円は言い換えると合計所得金額38万円になります。所得にはお給料などの給与所得の他にお店などの事業活動に対する事業所得など色々な所得があるんです。例えばお店をやってる場合は売上金に税金が課される訳ではなくて、そこから必要経費を差し引いた金額に税率を掛けて課されます。難しいので割愛しますが、この税率を掛ける前の金額を所得金額と呼んでいます。
でもお店には必要経費を認めるのにサラリーマンは認めないのかってなると、例えばスーツや靴、カバンなど何かしらの出費はしているので不公平感はありますよね。そこでサラリーマンなど給与所得者にも一定の金額を差し引く事になっているんです。最低でも65万円は引いて貰えます。

おばさん

なるほどね。つまりパートも給与所得者だから一定額は引いて貰えるのね。
それであたしの年間給料が103万円だったら65万円を引いて38万円以下になるって事かい?だからうちの旦那は税金の計算で優遇して貰えるって事でいいのかい?

しょーこさん

はい、その通りです。でも38万円を超えたから必ず受けられないかって言うとそうでもなく、今だったら配偶者特別控除という制度である程度は優遇して貰える事になってます。
配偶者控除を受けられる金額は38万円(おばさんの所得金額とは混同しないで下さい。おばさんの所得金額は旦那さんの税金が優遇出来るか判定に使っているだけです。偶然同じ金額です。)で、こちらは旦那さんの給与から一定額を引いた金額から更に38万円控除出来るので、単純に税率を掛ける金額が38万円低くなります。これは結構オトクです。旦那さんの年収により税率は変わりますが、旦那さんの税金は安くなるのは間違いありません。

けいりこさん

お久しぶりです。私も仲間に入れて下さい。
103万円のもう一つの理由はおばさんご自身の税金にあります。実は103万円以下だと所得税は0円になります。本来なら103万円に65万円を差し引いた合計所得金額38万円に税率を掛けて税金を計算するのですが、基礎控除額という全員無条件で控除される特典があります。これは誰でも控除出来る嬉しい特典で38万円(配偶者控除と同じ金額です。混同してしまいそうですね。)あります。つまり給与収入が年間で103万円だと、65万円と基礎控除額38万円は必ず控除出来るので合計所得金額は0円になるんです。どんな税率を掛けても0円にしかならないので税金は掛からない仕組みです。

しょーこさん

それに特典は他にも色々ありますね。例えば生命保険を支払っていた場合の生命保険料控除や、年間の医療費が一定額を超えていた場合に受けられる医療費控除など結構あります。これら特典を差し引けばいわゆる103万円の壁は逆算していけばもっと高くなるのはお分かりでしょうか。103万円って固定観念にとらわれているとうっかりしがちですが、しっかり調べてみるとこの壁がもう少し高かったりしますよ。

とまとちゃん

お二人ともフォローありがとね(笑)
ちなみに年末調整は年間の所得税額の計算。所得税は国に納める税金だけど、都道府県や市町村に納める住民税も別の機会に計算されて納める事になるのよね。年末調整だけに目が行きがちだけど、住民税とセットで考えると節税効果は大きいと言えるわね。本当は自分の年間収入を予測して事前に所得税と住民税の計算をシュミレーションすれば妥協点を見つけることも出来るのでしょうけど、税金の計算って素人には本当に難しいもんね。103万円だけを意識してしまうと逆に色々不都合が生じないとも限らないでしょ。例えばスーパーなんかは年末は特に忙しいだろうから、103万円にこだわってシフト調整するとかしてしまうと税金はいいけど勤務先で評価を下げてしまいかねません。

けいりこさん

そうですね。103万円が少し超えたから税金がべらぼうに上がるかというと結構微妙で、例えば年間収入が105万円だったら所得税で1,000円発生し、住民税で2,000円程度増えるだけですもんね。これならガンガン働いてた方がいいって人も沢山いると思います。むしろサラリーマンの奥様が気にしたいのは社会保険の加入条件である130万円を意識した方がいいでしょう。旦那様の扶養に入ると健康保険も年金も0円ですからこの壁を超えると超えないとでは雲泥の差があります。

はやしくん

イテテテッ・・・
まあ少し補足すると社会保険の場合の扶養、いわゆる年間130万円の壁は税金の計算と違って交通費なども含むので注意が必要だ。保険組合によって違うのかもしれないがほとんど一緒で、休業補償などの収入も加算される。壁ばかりで頭が痛くなると思うけど、しっかり勉強して頂いて少しでも皆様のお役に立てれば幸いかな。

けいりこさん

あら生きてたの?とまとちゃん優しいわね(爆)
ボコボコにされて少しはマシな顔になったかしら?!でもあなたは一般人のお顔とは越えられない壁があるからどんなに頑張っても無駄だけどね。

しょーこさん

交通費?アフリカの片道切符なら私出してもいいわよ(笑)
サバンナでライオンたちと戯れてきたらいいんじゃないかしら(爆)
おばさん!罰としてこいつをスーパーで永久にタダで働かせてやって下さい!!使えないと思いますけど・・・

おばさん

こんなの働かせたらお客が逃げるわよ(笑)
でもみんなありがとね。何となく分かったような分からないような感じだけど、家で旦那と相談してみるわね。税金って本当に素人には難しくて分かりにくいけど、少し胸のつっかえが取れた感じがして嬉しいわ。また何かあったら相談に乗ってちょうだいね。はやしくんも彼女たちに嫌われないようにもう少ししっかりしなさいよ!

はやしくん

確かに4年も更新してなかったからリピーターが全員どっか消えたしな(笑)
久しぶりの登場でいきなりボコられて散々だけど、またここに戻ってこれて嬉しいよ。殴られるのはもちろん痛いけど、払わなくていい税金を払うのもかなり痛いからしっかり税金の知識を身に着けて立ち回って欲しいな。イテテテッ・・・それじゃまた。

103万円の壁の参考サイト