10年間勉強を継続させる20の秘訣

  • HOMEへ戻る

10年経って思った事。

私はこのサイトを運営しているため、長い間受験生と接してきました。もちろん私自身も初めて簿記に接したのが19歳の頃ですから20年近く簿記とは切っても切れない友人のような関係になっています。もちろん20年間も勉強を続けていたわけでもなく、途中で資格試験を断念した時期が何度もありますので、実際には本当に勉強していた期間は8年程度だと思います。それでもこのサイトを立ち上げてから10年が経過しましたが、勉強をやめても受験生とは密接に接していましたので、受験生が何を考えどのように合格するために工夫しているのかを知る事が出来ました。基本的に勉強というのは人によって様々だと思います。家の中でないと勉強出来ない人もいれば、自習室の中じゃないと絶対に出来ない人もいます。また、雑音が入ると集中出来ない人がいるかと思えば、音楽を流しながらでないと勉強出来ない人もいます。受験生をひとくくりには出来ないでしょう。

そんな中で今回の記事を書こうと思ったのは、やはり途中で挫折する人が自分も含めてやたら多かったのと、勢いで勉強を始めてみたけれど、どのように勉強するのがよく分からない人のために少しでも参考になればと思い書いてみました。挫折する方は最初の1、2年でフェードアウトされる方が多いと感じました。日商簿記検定1級を全くの初学から取得しようと思えば1年ではかなり厳しいです。税理士試験に至っては5年で合格出来ればかなり幸運だと思います。

しかし、これらの勉強を始めようと考えている人のほとんどが、最短期間で合格出来るという見込みでスタートさせています。私はここがつまずく原因のひとつと考えています。理想と現実のギャップの大きさに戸惑い、消えていくのです。私自身も消えかけてしまいましたが、最初からもう少し現実を知れば良かったかなと思います。基本的にこれらの試験は他の資格と比べても長期戦です。確かに日商簿記検定2級以下ですと、早い人は本当に半年以内で合格されます。ですから、今回の記事は長期戦覚悟の日商簿記検定1級及び税理士試験など難関な試験を目指されている方に読んでいただければ参考になるのではと思います。

最後に勉強方法は様々ですから自分のスタイルを確立してやるのを一番にして、行き詰まった時などに軽く参考にする程度にして下さい。

勉強を継続させる20の秘訣

1.最終的な目標をもつ。

勉強することの目標をこれから勉強される前にハッキリ決めておきましょう。
この目標は最終的な目標であり、単純に試験に合格するだけでなくその後の人生設計も含めて考えてみましょう。現実的な目標でなくても構いません。まるで夢であるような大きな妄想を抱いても良いと思います。重要なのは何のために勉強しているのかを見失わない事と、あくまで自分の目標の為に、かつ、自分の意思で勉強している事を自覚するためです。

2.周りの人に打ち明ける。

あなたが試験に合格するために勉強をしている事を積極的に周りに伝えてみましょう。
家族、友人、職場の人々だけでなく、ブログやTwitterなどWEBツールを活用してみても良いでしょう。出来れば試験日や合格発表の日なども教えてあげると良いでしょう。もっと厳しくやるなら試験結果も公表すると良いでしょう。そうする事によって途中で投げ出すことが出来なくなり自分を背水の陣に追い込むことが出来ます。

3.有益な友人・ライバルを積極的に作る。

もし、許される環境であるなら積極的に同じ試験を受験する仲間を作りましょう。
出来れば思った事を何でも言い合える仲間がベストです。自分では理解していたつもりでも、何気ない仲間の一言でハッとさせられる事は多々あります。また仲間に質問された時に回答する事によって一層理解が深まり記憶が定着するものです。
また、ここでいう友人は飲み仲間や遊び仲間ではありません。作るのは勉強にプラスになる友人のみです。

4.色々な教材に手を出さない。

世の中には多種多様な教材が存在しますが、沢山つまみ食いをしようとすると失敗します。
これだと思った教材のみ使用し、良く噛み砕いて消化するよう努めましょう。不安なのは分かりますが、誰も手をつけていない難易度の高い項目は出題の可能性は低いですし、仮に出題されても誰も出来ないので十分勝負になります。沢山教材を買い込んでも、買ったことに満足してしまってそのまま放置しているのではないでしょうか。仮に頑張ってやったとしても、手を広げすぎて混乱してしまって、気が付いたら基本すら出来なくなってしまうこともあるのです。やはり基本を一番大切にして、特に試験直前は手を広げるのは混乱の元ですから止めておいた方が無難です。

5.ケアレスミスはなくならない。

ケアレスミスで点数を落とすのは、理解が出来ているだけにもったいないですが、ケアレスミスは決して無くなりません。
ケアレスミスを無くすことだけを考えてしまうと全体的な点数を下げる要因にもなりかねません。例えば毎回ケアレスミスで5点落としているからといって、電卓を叩き直す・転記ミスが無いか再度見直すなんてやってると意外と時間を消費してしまうのです。その消費時間で5点以上取れるなら見直しなんてやらない方がマシとも言えます。

6.勉強は時間数ではなくて内容が大切。

毎日何時間勉強すれば合格出来るのでしょうか?よく受験生から聞かれる質問です。
結論から言うと時間数だけで判断出来ません。同じ1時間勉強する人がいるとしても、各々の能力で消化するスピードが違いますし、能力がある人でも集中していなければ何時間机の前に座っていても勉強していないのと同義です。毎日勉強する前に今日はここまでやりきるという計画を立てて、その目標を達成出来るように集中すべきでしょう。

7.壁にぶつかった時の対処法

どんなに優秀な方でも必ず一度や二度は壁にぶつかって先に進めなくなります。
壁にぶつかった時は基礎に戻って理解できるところから始めるのも良いですが、思い切って飛ばして先に進めるのも一つの考え方です。
先に進んでいくうちに分からなかったところが、いつの間にか理解出来ている場合があります。
几帳面な方ほど壁にぶつかると身動き取れなくなりますが、バッサリ飛ばして先に進む事に意外な効果がある事に気が付くでしょう。

8.全てをプラス思考で考える。

どんな些細な事でもいいので全てプラス思考で考えてみましょう。
テストでとても悪い点数を取ってしまった。(いやいや、本番じゃなくて運が良かった!)
知識不足で友人達との談義で大恥をかいてしまった。(お陰でもう二度と忘れない論点。ラッキー)
体調崩して勉強のスケジュールが遅れた。(逆に前に目標が出来たので集中力が出る。)
試験に不合格になっちゃった。(実務を考えると中途半端な知識で合格しなくて良かった。)
何でもプラスに考えることで勉強を続ける原動力となりますし、諦めなければいつか努力は必ず実を結びます。
続けている限り、可能性は0では無いのです。どんなに悲観的な状況になってもこれ以上は悪くはならないと開き直ってみましょう。

9.言い訳をしない。

うまくいかなかった原因を常に言い訳していると、やる前から言い訳を考える癖が付いてしまいます。
時間の無駄ですし、どんなに不利な状況になったとしても言い訳はしないと最初に決めておきましょう。特に周りの責任転嫁はもってのほかです。敗軍の将は兵を語らず。そんな暇があれば次回に向けてやるべきことがあるはずです。

10.たまには問題を作ってみる。

どんな簡単な問題でもよいので一度作ってみてください。
想像以上に大変なことだと感じるはずです。本当に理解していなければ矛盾が生じるため、正しい問題は作れないのです。その作った問題を友人達と出し合って解いて見て下さい。そのうち驚くべき実力が付いていくのが感じ取れると思います。

11.自腹を切る。

勉強を始めるにあたって教材や授業料は必ず自分のお金で自腹を切ってやりましょう。
自腹を切る事によって、やらなければ損を被ると感じれば意外と頑張れるものです。専門学校などの授業料は決して安くありませんから、常に大切なお金を使って学んでいる事を心に刻んで下さい。

12.講師選びは相性重視。

専門学校に通って講師の選択肢があるなら相性を重視されることをお勧めします。
どんな評判の良い講師でも人間ですから相性の良い悪いはあります。相性が良いなと感じたら積極的に話しかけてみましょう。そこで信頼関係を築ければ合格にグッと近づきます。もちろん信頼関係を築けるかどうかはあなたの頑張り次第であることは言うまでもありません。講師も合格者を出せば評価が上がりますから、あなたが合格の可能性を示せば全力でサポートしてくれます。
しかし、それ以上(勉強以外)の付き合いは不要であることは言うまでもありません。

13.勉強環境について。

毎日同じ環境で勉強するのもよいですが、出来るなら気分転換に場所を変えてみるのもひとつの方法です。
元々、会議室で斬新なアイデアは生まれないのと同様に、例えば風呂場・トイレの中・散歩中にいきなり閃きが発生する場合があるので、煮詰まった時はスパッと勉強やめて散歩でもするとリラックス出来るし、全然理解できなかった事が理解出来ることもあるのです。これって簡単なようで、特に煮詰まってる時はかなか出来ないものなんです(笑)。
また、たまには違う場所で勉強するのもちょっと刺激になって良いと思います。いつもと同じ量の勉強をしていても、何故かいつも以上に充実するものです。特にモチベーションが低下して、このままじゃマズイなぁと感じたら積極的に環境を変えるよう心掛けてみましょう。

14.合格体験記。

それでもモチベーションが低下してなかなか気分が乗らない時もあります。
そんな時は積極的に合格体験記を読んでみましょう。ネットには無料で合格体験記を掲載しているサイト・ブログも多くありますので、成功者の体験を読んで自分にも出来ると自己暗示を掛けてみましょう。どんな分野に限らず成功する人はイメージトレーニングで自己暗示に掛けるのがうまいです。合格体験記を読むと本当に合格するのが簡単に思えますし、これなら自分も合格出来るんじゃないかと思ってしまうので、自己暗示を掛けるトレーニング教材としては最も身近で最も適しているのではないでしょうか。また、失敗談は時には参考にはなりますが、モチベーションが低下している時は合格体験のみ読むようにしましょう。

15.計画性を考えてみよう。

勉強は漠然とやっても今ひとつ効果がありません。
勉強する前に今日の勉強する項目を予め決めておきましょう。今日はこれだけやると最初から決めていると、達成した時には充実感を感じますし自信を生みます。その積み重ねによる経験は本番ではとても心強いものになりますので、少々の事では動じなくなり実力を発揮出来ます。 何度も言いますが、勉強は時間数ではなくてどれだけの量を消化出来るかを意識すべきでしょう。

16.勉強はとにかくペンを手にとって走り出せ。

勉強と言うのは基本的には楽しいものではありませんから、気乗りがしない時はなかなか手を付けられません。
しかし、一番の難関はその最初の取っ掛かりであり、実は一度勉強を始めると集中力が増して乗ってくるものです。
もし、勉強を始める前に「メールをチェックしてから」とか「このテレビを観てから」とか「ネット巡回してから」「新聞読んでから」「ご飯食べてから」「掃除してから」「キリよく後3分経って9時から」とか言ってたらいつの間にか寝る時間になってしまった・・・とか経験ありませんか?心当たりがある方は、とりあえず何も考えずにペンを手にとってテキストを開いて見ましょう。知らないうちに凄く勉強してますから(笑)
勉強するのに準備運動は全く必要ありません。

17.五感をフル活用してみる。

勉強を理解して習得するコツに、全ての五感を活用するべし!ってのがあります。
勉強を耳で聞いて、目で確認して、頭で理解して、声に出して、紙に書いたりする事によって記憶が強化されます。特にテキストを読むばかりでなく問題を解いてアウトプットする練習も重視して下さい。本当に理解していないとアウトプット出来ませんし、逆に言えばアウトプットを行う事により、インプットした知識をより理解して身に付ける事が出来るともいいます。

18.暗記項目は寝る前にすべし。

大脳生理学的には、記憶を定着させるためには寝る前に暗記物を暗記した方が、脳に最も効率が良いとされています。
起きている時間は常に脳に情報が送られていますので、脳内に情報が散らかったままになっているのです。 これが寝る事により脳を落ち着かせて情報を整理するゆとりが生まれるからなのでしょう。
なので寝る直前は計算問題よりも、理論問題や計算パターンの暗記に努めた方が効率が良いのかも知れません。 もし、知らなかったら一度お試しあれ。きっと効果があると実感するはずです。

19.復習は忘れた頃に必ずしよう。

最初に脳に入った情報は全て一時記憶として処理され、すぐに忘れるようになっています。
しかし、忘れた頃に繰り返し情報を送ってやる事で、脳は重要な情報と判断し長期記憶する場所に格納されます。ここまでのプロセスをたどれば合格は近いといっても過言ではありません。つまり、長期記憶化するまで何度も復習して情報を送ってやらねば意味が無いと言えます。
復習はやればやるほど効果があるのでしょうが、効率のよい復習はどのタイミングでするのが良いのでしょうか?
有名なエビングハウスの忘却曲線によると一日で7割は忘れ去られるとのことなので、24時間以内に一度は復習が必要でしょう。 後は復習を重ねるごとに覚えている期間も伸びますので、次は1週間後、その次は1ヶ月後、そして3ヵ月後といった感じで回していけばかなり記憶に定着します。これでも足りない気がしますが、それでも4回復習していることになります。復習がいかに大切なものか証明されてますね。

20.勉強出来る事のありがたみを知れ。

勉強を続けるのはとっても辛くて苦しいものです。
しかし、これはとても幸せな事だと自覚しましょう。世の中には勉強を続けたいと思っても出来ない環境の人は圧倒的に多いのです。経済的な問題もあるでしょうし、健康的な問題を抱えている場合もあるでしょう。また、税理士試験は平日に試験が実施されますから、会社の理解が得られないと休みも取れなくて受験したくても出来ません。それなのに、あなたは勉強出来る環境を既に手に入れている訳ですから圧倒的に恵まれている訳です。
その意味合いを噛みしめて理解出来るなら、勉強をおろそかには出来ないのではないでしょうか?
勉強を続けるにあたって感謝する気持ちを決して忘れないで下さい。そして周りの人もあなたが合格される事を心から願っています。

イラスト提供:風と樹と空とフリー素材 様