■ 商品売買の基礎知識(一) ■

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■ 商品売買の概要 ■

 ここでは商品売買について学んでいきます。仕訳上商品売買取引は色々な方法がありますが、この講座では誰でも最初に学ぶ分記法。そしてもっともポピュラーな三分法を見ていきたいと思います。

 具体的な内容に入る前にこれから行う分記法、三分法を使って何を求めるのでしょうか。それは商品を仕入れて他人に販売した時の儲け、つまり販売利益ですよね。その利益を求めるために簿記上は、どういった処理をするのかということです。

 第一章でも見てきましたが、利益の求め方は次の算式で計算しましたよね。
 利益=収益-費用

 覚えていますか? つまり商品売買に当てはめると、売上代金である収益から売上原価である費用を差し引いて、儲けである純粋な利益を計算するのでしたね。ここまでは大丈夫ですよね。

 しかし商品を仕入れた段階では、商品は資産です。つまり財産です。それが販売する事によって売上原価という費用になってしまうのです。このように商品は販売費や光熱費のように直接費用となるのではなく、資産であるものから費用に変身するややこしい費用なのです。

 これが複数の処理方法を生じさせている原因といえるでしょう。

 このような資産を難しい言葉で、費用性資産と呼んでいます。もちろん覚える必要はありませんが、商品は資産から費用になるんだなぁ程度に思ってもらえれば十分です。大事なのは利益は売り上げた販売価格である収益から、引き渡した商品の仕入価格である売上原価を差し引いて求めるという事を、ここでは頭に入れて置いてください。

■ 分記法 ■

 それでは分記法(ぶんきほう)について見ていくことにしましょう。分記法は最初に商品を仕入れた際に、商品勘定を使用して資産として把握します。 まあ、普通に考えてもらえれば商品を千円で仕入れた時の仕訳は、第一感として次のような仕訳が思い浮かぶのではないかと思います。

 (商 品)1,000 (現 金)1,000

 借方は資産項目である「商品」の増加であり、貸方は同じく資産項目である「現金」の減少を表す仕訳です。資産項目は借方項目なので、仕訳上では増加は借方に、減少は貸方になります。思い出しましたか?

 今度はその商品を2千円で販売した時の仕訳を考えてみましょう。サッパリ解らないかもしれませんが、わかる範囲で出来るだけイメージしてみましょう。例えば現金2千円で販売しているので、少なくとも資産である「現金」は増加しますよね。つまり借方(現金)2千円になるのがわかります。

 次に販売する事によって商品が手許から無くなりましたね。つまり資産である「商品」が減少したというわけです。資産の減少は仕訳上、貸方になるので貸方(商品)1千円となるのがわかると思います。

 それでは貸方の残額1千円は何でしょうか?となる訳ですよね。
 その差額は儲けである利益なんです。仕訳で示してみましょう。

 (現 金)2,000 (商  品)  1,000
            (商品販売益)1,000 


 このようになる訳ですが、仕訳で示してみるとなんとなく理解していただけるのではないかと思います。儲けである利益は、売上代金から売上原価を差し引いて求めましたよね。つまり販売価格2千円から、仕入代金である売上原価1千円を差し引いた差額である1千円を利益として把握しているわけです。

 しかし、利益は収益から費用を差し引いて求めるのに、上記仕訳では収益勘定も費用勘定も出て来なかったですよね。 何故だろう?と思われた方もいるかと思います。分記法は利益をダイレクトに求めるのでいまひとつ理解出来ないかもしれませんが、基本的な考え方は下記の仕訳になるのです。

 A.(現 金)2,000  (売上収益)2,000

 B.(売上費用)1,000 (商 品)1,000

 C.(売上収益)2,000  (売上費用)1,000
                (商品販売益)1,000


 大体このような感じになります。Aの仕訳は売上代金を収益計上します。Bの仕訳は引き渡した資産である商品を費用に振り替えています。つまり販売する事によって資産が費用となった訳です。Cの仕訳は文字通り収益から費用を差し引いて儲けである利益を求めています。

 これらの借方・貸方を相殺消去した仕訳が最初の分記法の仕訳、というわけです。分記法は利益を求めるのに仕訳を省略していたわけですね。ちなみにA~Cの仕訳は売上原価計上法と呼ばれる考え方に近いのですが、ここでは割愛します。

■ 分記法のまとめ ■

 それでは分記法をまとめてみます。分記法では資産項目である商品勘定収益項目である商品販売益勘定を使って仕訳を切ることになります。とりあえず下記のイラストで勘定上はどうなるのかイメージしてください。
分記法の勘定図


 資産である商品勘定の借方は、前期から繰り越された商品原価金額と、当期に受け入れた商品原価金額の合計金額になります。しかし、受け入れた時点では費用(売上原価)にはなりません。資産なのです。

 次に貸方を見てください。商品勘定は資産項目なので、貸方に記入されている金額は商品勘定(資産)の減少を表します。この減少は何かというと、基本的には期中に販売した商品の減少額を表しています。つまり売上原価金額です。すると貸借差額である借方金額(資産項目は必ず借方残高になる)は何を表すのでしょう。そう、手許にある商品原価金額を表します。

 次に商品販売益勘定を見てください。この勘定は収益項目(つまり貸方項目)ですが、実質的には収益というよりも利益そのものです。この勘定は売上収益である販売価格から、引き渡した商品の原価である売上原価を差し引いた金額ですね。

 最後に全て現金販売した場合には、売上原価と販売益の合計金額が現金勘定の借方に記入される事になります。基本的に分記法の場合には、商品勘定の貸方に記入された売上原価と商品販売益勘定に記入された販売利益の合計額が、当期に売上げた販売価格(売上収益)になります。

 分記法は売上金額とその売上げた商品原価とが直接的に結びつくために正確な販売利益が求まりますが、その反面商品を売上げたごとに売上原価を調べなくてはならないので、煩雑であるという欠点もあります。しかも収益、費用を直接相殺して利益を求めているので、売上金額は簡単に把握できない方法であるともいえます。



 ■ 総仕上げ例題 ■

 最後に例題です。分記法で仕訳してください。

 1.当社は現金で商品を15,000円仕入れた。
 2.その商品を2万円で販売し、代金は現金で受け取った。


 いかがでしたか。簡単すぎたでしょうか。

 1.(商 品)15,000 (現 金)15,000
 2.(現 金)20,000 (商 品)15,000
               (商品販売益)5,000



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