2017年1月31日に行政書士試験の合格発表がありました。
合格\(^o^)/
結果はネットで朝9時から行政書士試験研究センターにて公開されるのでドキドキしながら確認しましたよ(笑)
点数は驚きの200点に乗りました(笑)
合格は五分五分だと思っていたので本当に嬉しかったです。合格率は9.95%と思ったより高かった気がします。択一の難易度から考えて、恐らく記述の採点が甘かったのかなと思ってましたが合格通知の得点を見てその予感は当たっていたようです。
記述はかなりの激甘採点だったのではないでしょうか。
予想より10点以上も高かったです。予備校の採点サービスも僕の予想と同じような点数を付けていたので、今回の記述式はかなりサービスしてくれたようですね。本当に運が良かったです。自分は正直、全然力不足と感じてましたし恥ずかしくて大きな事は言えないのですが、行政書士試験の勉強を始めてとても魅力ある職業だと思ったのでいずれは登録して活躍したいなと思っています。なのでプロになった後はより一生懸命勉強して、周りの人達や先輩諸氏の先生方に認めて貰えるよう頑張りたいと思います。
まずは第一関門を突破したのが大きくて、ホッとすると同時に自信もみなぎってきました。
当面は次の目標である国家試験に向かって勉強を頑張ります。次もこれまた難敵なのでかなり苦労しそうですが、このままの勢いで突破といきたいですね。もう完全に会計の世界からは離脱しましたが、これはこれで良かったのではないでしょうか。
参考になるかどうか分かりませんが、記述式の僕の解答も掲載しておきますね。
]]>まずは、行政書士試験研究センター発表の正解例です。
次に僕の解答です。下書きなので字は汚いですが、清書はかなり意識して綺麗に書いてます。ちなみに一字一句下書きと同じように書きました。誤字もありますがそのまま書いています。
僕の解答 問44
僕の解答 問45
僕の解答 問46
よく分かりませんがこれで60点満点中54点ありました。自分で言うのも何ですがやり過ぎじゃないかと・・・ちなみに自分の予想点数は普通に採点して36点から40点辺りかなぁと考えてました。難問と言われた問46は誤字とか関係なく大体の雰囲気で合っていれば点数をくれた感じでしょうか。自分は記述式は得意な方だったのでやっぱり運が良かったです。後34点必要だったので厳しく採点されれば終わってました。
そう考えるとやっぱり運が良かったな(^^)
大阪行政書士会のサイトを眺めてたら合格者講習会の案内がありました。
速攻で申し込みましたw
参加資格が行政書士試験合格者に限るってのがステータスを感じさせます(笑)
生きてて良かった(TдT)
すぐに登録を考えている訳ではありませんが、色々な交流もありそうなので楽しみにしています。こちらの様子はまた行った後にブログでリポートしようかなと思ってます。とりあえず次の目標に向けて全力を尽くしたいと思います。今回の行政書士試験を合格して、自分は意外と国語力があったなと感心してしまいました(笑)
文系資格も意外と向いてるかもですね(^^)
行政書士試験の勉強法とか暇があればブログに書くかもしれません。
それでは皆さんも頑張って下さい。
ちょうど桜が咲く頃に何を思ったのか、今年の行政書士試験にチャレンジしてみようと思い先日11月13日(日)に行われた試験を受けて来ました。本当は別の国家試験を目指したかったのですが、思い立った時期が悪くて来年にせざるを得なかったので今年の目標は行政書士に切り替えてひたすら7ヶ月間勉強してきました。
目指すと言っても、簿記と違って全く未知の世界で法律の知識はゼロ。特に一般知識は酷く、この時点でロンドン条約とかOECDとか言われても一体何の事か全然分からないおバカレベル・・・(;^ω^)
本当の意味で白紙の状態で目指しました。確かに短期合格する人も居ます。でもその殆どが以前に法律を学んでた経験があるとか、公務員試験を目指してたとか、学生の時に政治経済にやたら強かったとか最低限の何らかの強みを持ってたはずです。自分みたいに全くの白紙のゼロレベルで短期合格を目指そうという人は相当珍しい部類だと思います。そして、こんな苦しい事になると知ってたら多分やめてたかも知れません。
巷では行政書士試験なんて簡単。国家試験とは名ばかりで誰でも取れる。定年後のボケ防止にやるようなもんだとか言われてましたが冗談じゃない!ふざけんな!無理無理。とんでもなく厳しい試験でした。働きながら7ヶ月でどうこう語れるほど全然甘くありません。まず求められる知識の範囲が膨大で深さも相当突っ込んだとこまで問われます。本当に苦しくて、夏以降は限界まで追い込んで勉強しました。その証拠に8月以降は仕事と勉強とポケモン(え?)以外の記憶が全くありませんから。
まあ、この試験について語りたいことは色々あるのですが、とりあえず今年の本試験を実際に受けての雑感を記憶のあるうちに書き残したいと思います。
]]>ここで簡単に行政書士試験の内容について触れておきましょう。
試験科目は、法令科目である基礎法学・憲法・行政法・民法・商法(会社法)の五肢択一問題が40問160点。
多肢選択問題は憲法1問と行政法2問で24点。40字程度の記述式問題が行政法1問と民法2問で60点。
そして一般知識が五肢択一問題で14問(5問以下の正答だと足切り)56点。合計300点満点です。
試験時間は3時間とかなり長時間。結構タフなのです。
合格は絶対評価で6割180点以上を取らないと合格になりません。また、一般知識24点、法令科目122点を取らないと足切りになる少し特徴的な試験になってます。今の試験制度になってから法令科目重視で難化しており、合格率は8%前後で推移しております。ただ去年は13%台で大盤振る舞いをしており、今年は確実に難しくなると言われておりました。
まあ、一言でいうと6割取れば合格出来るのですが、大票田である行政法と民法を得点源にしないと合格は非常に厳しくなります。そんな試験です。
前置きが長くなりましたが備忘録として本試験の事を書き残しておきます。
また、これを読んでも僕のレベルが低いので参考にはならないと思います。
基礎法学(0/2)
問題1は裁判員制度の平成23年の最高裁判決の一部からの出題でしたが、以前にどこかで目に触れていたはずなのにド忘れしており、必然的に自力で解くしか無く、肢1と5で悩んだ挙句5を選択して間違える。結局基礎法学は1問も取れない酷いスタートとなった。
憲法(3/5)
問題3は変わった形式の出題ですが、まともに解いたら15分は掛かろうかという問題なので適当にスルー。問題4・6・7の最高裁判例の問題は取れたが、一番簡単な問題5を痛恨のミスで落としてしまった。今年の憲法はやたら判例問題が多く凄く難しく感じた。
行政法(14/19)
難易度は易しいと感じたが致命的なミスを犯してた。問題16と問題20は問題文を読み違いしていた。特に問題20の肢2はかなり珍しい引っ掛け方なので間違った人は多いと思う。問題26の朝日訴訟の最高裁判例は全く知らなかったが深く裏読みし過ぎた。生活保護受給権が相続の対象にならないのは誰でも知ってるが、こんな出題のされ方をするので肢4がもしかしたら・・・と思ったが素直に解答すれば良かったのか。
行政不服審査法が2題から3題に増えていたのと国家賠償法が1題になったのと、判例の問題がやたら多いなと思った。結局正解は14題のみと思った以上に間違ってて非常に落胆した。感覚的に15~16は取れた問題だったのになぁ(´・ω・`)
民法(5/9)
最初の3問がサービス問題だったので喜んでいたら後半は厳しくて折れそうになった。問30の不動産先取特権は、実は記述対策でかなり突っ込んで勉強していたので見た瞬間歓喜したが、しっかり間違えて最初のダウンを喫してしまった。根抵当権は過去問からそれなりに難しい出題がされていたので、本試験で出たら恐らく更に難しい問題になると思いスルーにする予定だった。なので問31は今回の問題で唯一問題文を読まないで直感で解いたが結果は甘くなかった。問題35の簡単な養子の問題も落としたのは痛かった。痛すぎる。この難易度の民法で6問以上取れてないのは本当に残念だった。
商法・会社法(3/5)
今年の商法・会社法は易しく感じた。と言うのも商法・会社法を本気でやったのは試験直前の最後の3週間のみなのだ。正直捨てる気でいた科目(戦略上捨てる人が多い科目です)だったが色々思うところがあって直前期に一生懸命仕上げた科目。直前期にインプット学習をやるのは絶対止めとけと誰もが言うと思うし、当たり前だが3週間でどうにかなる科目ではなく、ちょっと後悔していたが本番では奇跡が起こった。商法1問と会社法2問は真面目に勉強している人なら簡単に取れたからなのだ。この3週間の努力がモロに実を結んでしまったのだ。例年並みなら恐らく3問も取れてないのでラッキーだった。ツキに見放されてないかもと思った。
多肢選択(7/12)
問題42は超有名な成田新法事件からの出題でほとんどの人は簡単に感じたようだったようだが、恥ずかしながら今までこの判例を詳しく読んでなくて1つしか正答出来なかった。多肢選択で7問しか取れなかったのは記憶にあまりないので相当ひどかったと思う。やっぱりツキが無いのかと凹んだ。
記述問題(?/3)
今年の受験生の多くが合否を分けるのは記述の出来次第と言われてます。特に問46は何を書いていいのかサッパリ分からずヤケクソで書いたが、解答見たら結構クリティカルヒットしているようでビックリした。問46は試験の一番最後に回して書いたが、土壇場で試験の神様が降臨したかも知れない。こんな事もあるんですね。
どういった採点基準になるかは何とも言えませんが、一応3題とも部分点はそこそこ貰えるだろうと思うような答案じゃないかと思う。ただ3題どれもが何か一つキーワードが抜けてるので正直0点でも文句は言えないと思う。記述の採点が甘く部分点を考慮してくれるなら合格の可能性はあるかと思います。
話題の問46は、民法の記述問題で2年連続家族法から出題されたのに驚愕しましたが、誰も目に触れたことも無いような昭和46年7月23日の慰謝料請求事件?の最高裁判決からの出題ですから、茫然自失となった受験生は多かったと思います。しかし、そのような場合でも白紙は絶対に避けろと各予備校の講師は言ってたハズなので、現場でいかに柔軟に対応出来たか・・・が勝負の分かれ目だと思います。特に合否に絡む実力のある人は、実際に何かしらの事を書いてきたようです。
一般知識(8/14)
足切りに泣かされる恐怖の一般知識ですが、出題傾向が大きく変わったなと言うのが第一印象。個人的には良問だと思いました。と言うのも今回は時事問題が多くて、常に世間に対して情報のアンテナを張っていれば解けた問題が多かったと思います。問題47みたいな爆笑もののネタ問題をぶっこんで来たのもお約束みたいになりつつありますが、予備校の問題に慣れると意外と間違った方もいるのではないでしょうか。と言うのもあまりにも間違えてる箇所が堂々としすぎて気付かなかった可能性もありそうです。日付とか細かい所にばかり気をつけるので「ソ連が長崎に」のソ連が見えなくて最初は肢1を塗ってましたからね(笑)
まあ、今回驚いたのは個人情報保護法、行政機関個人情報保護法など情報分野の本命が全く出題されなかったこと。その代わり公文書管理法のマイナーな箇所から出題された。一般知識で足切りを避けるためにこの分野を重点的に勉強していた受験生も多いと思うのだが・・・いいのかこれ?(´ω`;)
問58~問60の文章理解は模試では毎回ほぼ満点を取ってたのですが、今回は簡単すぎた?!のか何故か最後の問題60を落としてしまった。これが取れていればとも思うが仕方のないところだろう。足切りをクリアして8問32点取れたのはまずまずだと思う。最後の2ヶ月は有名な政治経済のセンター試験対策の参考書を読み込んで、着実に実力を底上げ出来たのも自信につながったと思う。それまでは一般知識の問題を解く時は酸欠の金魚状態でしたし、模試でも一般知識だけいつも平均点以下でかなり落ち込みましたからね。
本試験は合計すると記述抜きで146点でした。
なので、記述が60点のうち34点以上あれば合格です。正直ちょっと足りないかも。ちなみに全国公開模試も市販されてる模試も解きまくりましたが、学校・出版社関係なく毎回安定して記述抜きで150~160点台で推移してました。得意な科目も無いけど苦手な科目も無いので安定してたんだと思います。なので、割と手応えが良かった今回の本試験の内容で点が伸びなかったのは意外でした。
試験後に情報を集めてたら記述の採点サービスを行っている予備校があるようです。資格スクエア、TAC、LECは記述採点サービスを行っているので早速申し込みました(^ω^)
法令択一はいつもの模試より10点位は悪いですが、結果はどうであれ最後の2週間は倒れるんじゃ無いかと思うほど追い込んだし、間違いなく自分は頑張ったと言い切れます。だから全く悔いもありませんし、とりあえず合格発表を楽しみに年を越せるには悪い気分じゃありません。一般知識が足切りならその場で終了ですもんね。
記述を甘めに採点してくれたら・・・なんて期待はしたいですが、正直7ヶ月じゃ何も分かってないに等しいし、恥ずかしいレベルなのでもう1年やってもええかなとも思ってます。ただ、この試験は全くの初心者でも働きながら一発合格は十分可能だと思いました。また、よっぽどズバ抜けてる人以外は100%合格出来る保証はないと言える厳しい試験です。試験範囲が青天井なのである程度の運も必要なんですね。本当にこの半年間は新鮮で面白かったです(最後は死にましたけど)。
ハッキリ言ってこの試験を甘く見ないで欲しいです。半年で簡単に合格出来ると信じ込んでた春先の自分を殴り飛ばしたい気分です。確かに受験する人の7割はまともに勉強されてないような感じはします。ただ、残りの3割は結構ガチ勢のようで、いくら勉強しても上位との差がなかなか埋まりません。最後の1ヶ月は本当に苦しかったなぁ。
僕は行政書士が最終目標では無いので、来年の本命の国家試験合格に向けてまたスタートを切りたいと思います。正確にはもうスタートしているのですが、行政書士試験に集中するため1ヶ月近くお休みしてたんですよね。こっちの勉強も面白いので遅れを取り戻したいと思います。
(注)外国からのスパムが多いのでコメント欄を閉じました。すいません。
いよいよ一夜漬けで覚える直接原価計算シリーズの最終回です。
日商簿記2級工業簿記対策ですが意外と内容は濃かったのではないでしょうか。
今回は固変分解をサラッと流して終わりにしたいと思います。前回の宿題の解答は記事の最後に掲載しますね。まずは前回までの記事を読まれていない方は先に読む事をお勧めしますよ。
一夜漬けで覚える直接原価計算の概要
一夜漬けで覚える直接原価計算【CVP分析編】
一夜漬けで覚える直接原価計算【全部原価計算との違い】
一夜漬けで覚える直接原価計算【固定費調整】
直接原価計算は短期利益計画に役立てる資料を提供したり、経営分析を行う上で製造原価を変動費と固定費に分けることが何より重要だったと思うのですが、これがまた実際にやるとなると至難の業なのだ。
-確かに手間は掛かりそうですけどそこまで大変なのですか?
うん、色々な原価要素が製造原価には含まれているけど、綺麗に変動費と固定費に区分出来る物は多くはない。むしろ出来ない物の方が多いんだ。ところが工場長の給料も固定給なら当然固定費と思うだろうが、例えば残業した残業代や深夜勤務などをした場合につく深夜手当なんてのが含まれていると純粋な固定費とは言えないと思わないかい?
このように、一つ一つの費目を変動費と固定費に区分する手法は費目別精査法と呼ばれるけど、どうしても区分する人の主観が入るので正確性に欠ける。Aさんは変動費と言ってるけどBさんは固定費と言ってる。最終的に部長が変動費じゃないかと言ったので変動費にするかーみたいなノリで決められた原価計算は説得力があるのだろうかという疑問が生じる。だから直接原価計算の営業利益は会計のルールでは認められない理由の一つになっているんだ。
とはいえ、何らかの形で変動費と固定費に区分しないと将来的な予測も立てられない。その為に色々な方法があるのだけど、日商簿記2級で出題される高低点法(こうていてんほう)という方法を学習しよう。ちなみに製造原価を変動費と固定費に区分することを固変分解(こへんぶんかい)と呼んでるよ。
高低点法は生産量の増減と原価の発生を、1次方程式(y=ax+b)に関連づけて変動費と固定費を区分する手法なんだ。生産量と書いてるけど、営業量や操業度と書いてるテキストもあるのであまり気にしなくていい。試験問題で固変分解が出たときは、原価の増減と関係ある生産量又は同様のデータが提示されているはずだ。下の図でイメージしてみよう。
高低点法は、原価と生産量を表した実績データを元に求めるんだ。
その実績データの中から一番最低の生産量と一番最高の生産量のデータを抜き出して1次方程式の直線を引いて、生産量1個あたりの変動費と固定費を算出する方法なんだ。
もうこれは具体例で確認した方が早いので早速確認してみよう。
それでは続くを押して次ページに進もう。
まずは簡単な例題を用意した。上図のデータは1月から6月までの各月における生産量と製造原価の実績を表したものだ。これを高低点法で変動費率と固定費に分解してみようじゃないか。
最初にやるのは一番低い生産量のデータと一番高い生産量のデータを抜き出すこと。
それ以外のデータは無視だ。そして上図のように生産量1個あたりの変動費と固定費を算出する事が出来る。ちなみに固定費は一番低い生産量の2月データから求めているが、一番高い生産量の5月データからも求めることが出来るぞ。
別解
3,275,000円 - (250円×3,100個) = 2,500,000円
意外と簡単だろ?本試験ではこの程度のレベルの問題を解ければほぼ大丈夫。
むしろ、この後にCVP分析をやらせたり損益分岐点の売上高を計算させることが想定されるので、固変分解はしっかりマスターしよう。変動費や固定費が求まらないと損益分岐点など求まる訳がないのでごっそり点数を落とすことになりかねない。
ついでにもう一つ。
試験問題では正常圏内のデータを使って高低点法を解かせる問題が想定されるのでやっておこう。高低点法はそれなりに優秀な方法なんだけど、一番高い点と一番低い点を結ぶので、異常値なデータが実績として残っているとそのデータが計算に使われる可能性がある。なので、あくまでも正常圏内の普通の状態で出した実績データを使いましょうということだ。この場合は正常圏内がどこからどこまでの範囲なのか問題文で指示が入る。
上図をみて欲しいんだけど、一番高い点は明らかに他の点に比べておかしいと思うよね。もし仮にこの点を高低点法を計算する上で採用したら直線の傾きが大きく変わることになる。その為に正常圏内の通常の状態で算出された実績データを使うんだね。
つまり高低点法は正常圏内の最低点のデータと最高点のデータを使って固変分解を行うのだ。
まあ、出題実績はあまりないけど知らなければ解けないので軽くでも押さえて欲しいと思う。
それではお待ちかね前回の宿題の解答です。みんな解けたかな?(^ω^)
このような問題が出題されればまずは慌てないこと。ボリュームがありそうだけど、冷静に読めば実は全然大した事はないのだ。それに、前回のヒントでチラッと言ったけどオレンジ色に塗られた部分は3分あれば全部埋まる項目なのだ。製造原価のうち、変動費は毎月一定の@200円なので直接原価計算の損益計算書は瞬殺で作成出来るのだ。
月初製品原価 ・・・ 5個 × 200円 = 1,000円
当月製造製品原価 ・・・ 40個 × 200円 = 8,000円
期末製品原価 ・・・ 10個 × 200円 = 2,000円
直接原価計算の損益計算書に関しては生産(仕掛品)データは一切不要だ。超楽チン。
分かっていると思うが、固定製造原価9,200円はしっかりと期間費用にして欲しい。一番大事な論点なのでここを間違えたら0点にされても文句は言えないレベルだ。いや、冗談抜きで。
全部原価計算の損益計算書は、生産データを使って仕掛品勘定から集計する必要があるがやってみればそれほど難しくはなかったと思う。その前に一番簡単な売上高を計算しよう。
売上高 ・・・ 35個 × 600円 = 21,000円
しかもこんな箇所に配点がくることがある。さすがにそれはどうなんだろうって思うが、貰える物は貰っておけの精神で絶対に落としちゃダメな箇所だ。販売費や一般管理費も同様に簿記の知識不要で解けそうだ。
次に当月製品製造原価を求めるが、全部原価計算は変動費や固定費は気にせずに解けばいいので原料費と加工費の当月製造費用を求めて普通に解いていくだけ。仕掛品BOXは面倒くさがらずに作成して、加工費は完成品換算量に置き換えて集計しよう。すると当月投入加工費は46個と計算されるはずだ。
当月加工費 ・・・ (46個 × 100円) + 9,200円 = 13,800円
最後に固定費調整だけど、一番難しいのは月初仕掛品に含まれている固定費と月初製品に含まれている固定費をどうやって算出するかだ。これは毎月変動費は一定と問題文に書かれているのをヒントに逆算して求めるしかない。つまり月初仕掛品原価の加工費は3,300円だけど、これは変動加工費と固定加工費の合計金額だ。しかし、月初仕掛品の完成品換算量は10個なので、変動加工費は1,000円と求められる。必然的に固定加工費は2,300円ということになるのだ。
同じ要領で月初製品に含まれている固定加工費も簡単に求まる。製品1個あたりの変動費は原料費と変動加工費を合わせて200円なのだ。つまり月初製品は5個なので、月初製品原価2,150円のうち変動費は1,000円なので固定加工費は1,150円が含まれていることになる。これで固定費調整も解答出来たと思う。
最後に仕掛品BOXを載せておくので参考にして欲しい。直接原価計算は上の2つのBOXを使って解く。
販売データより製品BOXも下図に載せておくよ。
最後は駆け足だったけど、直接原価計算に対する苦手意識が少しでも減って貰えれば嬉しい。直接原価計算は固定製造費用をどう扱うかの計算手法であって、皆さんが思っているような個別原価計算や総合原価計算などの純粋な原価計算とは意味が違う。全部原価計算と直接原価計算は例えるなら日商簿記と全経簿記の違いのようなイメージであって、個別原価計算や総合原価計算は商業簿記と工業簿記みたいな違いのイメージだ。同列に語るものではないのだ。参考までに別の切り口から実際原価計算と標準原価計算による流派の違いもあるぞ。これも同列には語れない。
ちなみに今回の問題は、実際原価計算の総合原価計算で、全部原価計算と直接原価計算両方の損益計算書を作成する問題だったのだ。だから今回の宿題を見てこれは直接原価計算の問題だなと思ったなら30点なのだ。まあ、試験では知らなくても合格出来るが問題を解く上で、①実際原価なのか標準原価なのか、②直接原価なのか全部原価なのか、③原価計算は個別?総合?何だろう??くらいの意識はしてくれると良いのではないでしょうか?
宿題の解説はあっさりしてしまったので、質問があればコメント下さいね。
それでは頑張って下さい(*´∇`*)
一夜漬けで覚える直接原価計算の概要
一夜漬けで覚える直接原価計算【CVP分析編】
一夜漬けで覚える直接原価計算【全部原価計算との違い】
今回はいよいよ固定費調整について学びます。
まずは下の公式を見て下さい。
こんな公式を丸暗記して覚えられますか?
僕はちょっと無理です。公式だけ与えられて数字埋めて解けと言われてもそれでええんかって思っちゃいます。もちろん合格だけを考えたら公式をゴロ合わせでも何でも無理矢理覚えて解けばいいのかもしれませんけど、個人的にはあまりオススメ出来ないかなぁと思います。内容を理解出来た上で丸暗記するのなら良いとは思いますが、悲しいかなほとんどの受験生は公式を丸暗記してパターンで覚えちゃってるのでは無いかと思われます。
そこで、今回はその理屈を少しでも知って貰おうと考えて作成しました。
最悪、公式を忘れても何とか解けるレベルまで達してくれれば嬉しいなぁと思います。
そもそもどうして全部原価計算と直接原価計算の利益がズレるのでしょうか?
-直接原価計算は製造固定費を製造原価にしなかったですね。これが原因ですか?
うん、そうだね。
直接流では製造固定費を全て一気に(期間)費用にしちゃった。でも製造固定費は製造原価だから作った製品が売れないと売上原価にしないのが会計のルールだろ?前にも触れたと思うけど・・・結局、直接流と全部流では費用にするタイミングがズレているので利益がズレてるって事なんだ。でも言ってることがサッパリ分からないだろ?
とりあえず、今までの直接原価計算の知識は全部無視して次を読んでみて欲しい。
太郎君と次郎君のロボット製作物語だ。変動費とか固定費も考えないで物語を読んでくれたらいいよ。
太郎君と次郎君はロボットを¥2,000で制作して¥4,000で売ろうと考えている。太郎君はロボット製作に掛けた費用を集計して、会計のルールに従ってロボットが売れた時に費用として計上しようと考えている。しかし、次郎君はルールなんてクソくらえ、掛かった製作費用はすぐ費用として計上しようと考えた。
何が言いたいのか大体想像がついたと思うが先に進めてみよう。
まず、規則を守る太郎商店の方だが当期に製作費が¥2,000掛かったが、当期に売ったので費用になるのは¥2,000だ。次郎商店はルール無視で製作費が¥2,000発生したから全部当期の費用にした。結果的に、太郎商店と次郎商店の利益はたまたま一致しているが、太郎商店と次郎商店の考え方がまるっきり違うのは理解出来たと思う。
次はBパターンに進めてみよう。当期に作って売れなかった場合だ。
さっきは作ったロボットが売れたので問題にならなかったが売れ残った場合はどうだろう。
次郎商店は終始一貫していて、ロボットが売れようが売れまいが発生した製作費用をそのままダイレクトに当期の費用にしている。太郎商店は当期に売ってないので当然費用にはしていない。つまり上図の赤丸部分がズレたことにより最終的な利益がズレる結果になったんだ。
これは太郎商店が売れなかった製作費用を期末製品として資産に計上したからなんだよ。
つまり、期末製品の金額は費用にならなかった金額ということになるね。
次にCパターンを確認しよう。前期から繰り越されたロボットがまたも売れなかった場合だ。
CパターンはBパターンの翌期だと考えて貰うと良いかもしれない。
前期にロボットが売れなかったので、当期に何とか売りたかったが結局売れなかったケースだ。実はこのケースだと太郎商店と次郎商店の利益はズレないのだ。何故なら太郎商店は何も売ってないので費用にするものがなく、次郎商店の方は製作費用が発生しないので費用にするものがない。つまりどちらも費用にするものが無かったので利益が一致したと言える。
次はDパターンだ。前期に売れなかったロボットを当期に売った場合だ。
この場合は太郎商店と次郎商店の利益はしっかりズレる。
何故なら、太郎商店はロボットが前期に売れなかったので、製作費用を費用にしないで資産として繰り越したが、当期は売れたので製品(資産)から売上原価(費用)に振り替えたからだ。次郎商店はもう前期に費用にしているので当期は費用にするものがない。そもそも次郎商店には在庫という概念はないのだ。
ここまでのパターンを見て利益がズレるケースは、製作費用が発生した期に売れ残った場合、又は、前期に売れなくて当期に繰り越されてきた在庫が売れた場合の2つだ。
それでは最後にEパターンを確認してみよう。前期にロボットを製作して売れなくて繰り越されてきた上に、当期は更にもう1台ロボットを製作して、そのうち1台だけ売れた場合だ。
このケースも太郎商店と次郎商店の利益に誤差は生じなかった。どうして利益が一致したかというと、太郎商店で売上げたために費用にした金額と、次郎商店が今月の製作費用として計上した金額がたまたま一致したからに他ならない。このように当期の製作費用のうち売れなかったものがあったり、前期に売れなくて繰り越されてきた製品が当期に売れた場合でも利益がズレないことはあるのだ。
そこで問題。太郎商店が当期に費用にした¥2,000は①の期首繰越分か、②の当期製作費用部分かどちらでしょうか?
①だったらDパターンになって利益がズレるが、②の方が売れていたらAパターンだから利益がズレないの??と考えてしまいそうだけど心配ご無用。例えば①の方が売れたDパターンと仮定するなら②は期末在庫になるのでBパターンになって逆方向に利益がズレる。もし、②の方が売れていたAパターンと仮定するなら①は期末在庫になるのでCパターンになる。
つまり、Dパターン&Bパターンの組み合わせか、Aパターン&Cパターンの組み合わせになるかだが、2つを合計するとそれぞれの利益は同じになる。ここまで考察して太郎商店と次郎商店で利益がズレないパターンに法則があることが分かった。
期首在庫金額 = 期末在庫金額 が成立すると太郎商店と次郎商店の利益にズレは生じない。
冷静に考えると当然なのだが、太郎商店はBOX右上の売れた完成品を費用にしているのに対して、次郎商店は左下のBOXを投入部分をダイレクトに費用にしているのだ。そう考えると期首(左上)と期末(右下)の金額が同じだと、必然的に青い部分の金額は左右で一致するのは理解出来ると思う。
ここまで読んでみて太郎商店が全部原価計算と似た計算の仕方で、次郎商店が直接原価計算に似た計算の仕方かなと思ったあなたは多分原価計算の天才だろう。まあでも、ここは直接原価計算も全部原価計算も忘れてもう少し楽しみながら読み進めて欲しい。
全部原価計算は、製造費用を仕掛品勘定から製品勘定を経て最終的に売れたものを売上原価(費用)に計上するのが一連の流れだった。さて、その複雑な図解を下に載せたので見て欲しい。
ちょっと複雑になったが普通の原価計算はこのような流れで計算してたよね?
期首の金額と期末の金額が同じになると、本当に太郎商店が費用にしている部分と次郎商店が費用にしている部分が同じになって利益がズレないのか確かめてみよう。
結論から先に言うと、仕掛品と製品の期首合計金額と期末合計金額が同じだと青い部分も同じ金額になるので利益はズレない。これを証明してみせよう。
仕掛品勘定と製品勘定を縦に合体させて並べ替えると上図の右の部分になる。
緑色の完成品のBOXは必ずイコールの関係なので無視してその上の部分に注目してみよう。青い部分の投入と完成品の金額が同じだと、必然的に期首の合計金額と期末の合計金額が同じにならないとBOXの左右の金額が同じにならないことに気付かないか?
-なるほど~。つまり期首在庫合計と期末在庫合計が一致すると太郎商店の利益と次郎商手の利益がズレないっていうことですか・・・
結論から言うとその通り!!
太郎商店は全部原価計算の計算方法で次郎商店は直接原価計算の計算方法だったのは薄々気付いていただろうと思う。そこでもう一度冒頭の固定費調整の公式を思い出して欲しいんだ。
全部原価計算の利益 = 直接原価計算の利益 + 期末仕掛品・製品の(固定費)金額 - 期首仕掛品・製品の(固定費)金額
-ああ、確かに意味は分からないけどこんな公式でしたね。
これを並べ替えると・・・
全部原価計算の利益 - 直接原価計算の利益 = 期末仕掛品・製品の(固定費)金額 - 期首仕掛品・製品の(固定費)金額
要するに太郎商店と次郎商店の利益の差は、期末と期首の仕掛品・製品の金額の差額と言えるってことなんだよ。固定費調整の公式も少しだけ理解出来たかも・・・と思えればそれでOK。この公式の意味を何となくでもいいので理解して欲しかったんだ。
最後に利益がズレるパターンを確認してみよう。
さっきの縦に並べ替えたBOX図で完成品部分をカットしたと思って欲しい。
今度は太郎商店が費用にしている部分と次郎商店が費用にしている部分に金額の差が出た。
つまり、太郎商店が費用にしている金額が次郎商店より大きいので、利益は逆に太郎商店の方が小さくなる。でもこの青色の部分の差額は期首と期末の金額の差額でもあることを確認しよう。
直接原価計算の利益 - 全部原価計算の利益 = 期首合計金額 - 期末合計金額
つまり、このように表すことが出来るんだ。
逆に期末合計の金額の方が大きい場合は分かるかな?その場合は次郎商店、つまり直接原価計算の費用の方が大きくなるから逆に利益は太郎商店、つまり全部原価計算の方が大きくなる。
全部原価計算の利益 - 直接原価計算の利益 = 期末合計金額 - 期首合計金額
このように表すことが出来る。
固定費調整の公式を忘れた時は、是非とも上のBOX図と太郎商店と次郎商店の話を思い出して欲しい。上のどちらかの式が出せればそれを変形すれば固定費調整の公式は地力で出せるぞ(・∀・)
もう一度固定費調整の公式を再掲しようじゃないか。
最初は絶望的な気分になった上記公式も少しは慣れ親しんで頂けたのではないだろうか?
固定費調整でここまで力を入れて語ってるテキストやWEBサイトはどこにもないと自負しているが、そもそも固定費調整って何だろう?って思ったのではないだろうか?
そもそも会計のルールでは売れていない製品は費用(売上原価)にしてはいけないという決まりになっていた。だから全部原価計算の利益しか認められていない。でも社長とか利益計画を立てたりするのに便利なので直接原価計算の損益計算書を作ることもあるだろう。でも、会計のルールで直接原価計算の利益は認められていないので、最後に期末在庫の金額と期首在庫の金額の差額を調整して全部原価計算の利益を導き出すのが固定費調整なんだ。
つまり会計で認められない直接原価計算の損益計算書を作っても、ちょっと調整するだけで全部原価計算の利益が出せるので使ってもいいよねって発想なんだな。
それではようやく本格的な練習問題を解きながら一緒に学んでいこう。
問題を解く前に直接原価計算の復習をしよう。
全部原価計算の利益と直接原価計算の利益はどうしてズレるのだろう?今までの流れから費用にするポイントがズレているので最終的な利益がズレたと理解したとは思う。特に直接原価計算は売れようが売れまいが費用は全部その期の費用としてダイレクトに計上する特徴があった。
しかし、これはあくまで製造費用のうち固定費部分に限った話だということをもう一度確認して欲しい。
利益がズレるのは固定費のみで変動費は決してズレない。変動費だからズレないのではなくて、全部原価計算も直接原価計算も変動費は同じ計算をするからズレないのだ。つまり変動費部分は売れ残ったら当然費用にしないで棚卸資産として翌期に繰り越すということ。
分かりやすく説明するために、先程の次郎商店は製造原価全部を期間費用にしていたが、直接原価計算では一部(固定費)を期間費用にするのだ。ここは大切な所だからもう一度説明させて貰った。
ではでは、改めて練習問題を解いて貰おう。
最初に断っておくが日商2級の本試験レベルよりかなり難しい問題だと思う。本試験で出題されたら阿鼻叫喚だろう(笑)しかし、最近の本試験の傾向を考えると練習ではあえて難しい問題を解いておいた方がいいような気がするんだ。それに試験じゃないから時間は無制限にある。今までの知識を駆使してゆっくり落ち着いて解いてみよう。ややこしく感じるが2級の知識で十分解ける問題だ。
解答は次回発表するのでそれまでにチャレンジして欲しい。
オリジナル問題なので、もし問題に不備があった場合は笑って許して欲しいw
ノーヒント。
と言いたいところだが、ヒントが欲しい人は次を参考にして欲しい。
この問題で一番難しく感じるのは月初仕掛品に含まれている固定費の金額だ。実は先月以前の生産データが示されていないので月初仕掛品に含まれている製造固定費は算出のしようがない。固定製造費が毎月9,200円発生しているのは分かるが、作った個数によって1個あたりの固定費がその都度変わるので普通で考えると算出不能だ。しかし問題をよく読むと、製造原価のうち変動費については毎月一定で1個あたりの原価が示されている。つまり、月初仕掛品の加工費3,300円のうち変動加工費については算出可能なのだ。すると必然的に残りの部分は固定加工費だと気付くだろう。
あと、下にすぐに解答出来て埋められる箇所は色塗りで示した。まずそこを計算してみよう。
この問題は変動製造費が毎月一定なので直接原価計算の損益計算書は速攻で解答出来る。1個あたりの製品原価が問題文に書いているので固定費を無視して標準原価計算のような感じで計算するだけだ。2級は標準直接原価計算は範囲外なので本問では苦心して実際原価を使っているだけだ。
これからの2級は解けるところから先に解いていくという国家試験並の解答戦略が必要になるかもしれない。そんな練習にもよいと思う。是非頑張って完答することを期待するよ。
第1回 直接原価計算 【概要編】
第2回 直接原価計算 【CVP分析編】
まだ読まれてない方は第1回だけでも是非先に読んで見てください。
今回は直接原価計算と全部原価計算の違いについて記事にしたいと思います。
簿記2級の検定試験でも、直接原価計算の損益計算書と全部原価計算による損益計算書の作成問題がよく出題されています。思ったほど大した内容ではありませんので、あまり身構えずに気楽に読んでいただければと思います。
その前に、製品原価の範囲にスポットを当てた場合2つの流派があります。
一つは全部流でもう一つは直接流です(笑)
皆さんは恐らく何も考えずに、個別原価計算や総合原価計算(工程別・組別・等級別)、そして標準原価計算と学ばれたと思いますが、これらは全て全部流で学んでいたのです。
-ちょっと待って下さい。流派が色々あるなら最初に選びたかったです。
まあ、そうでしょうな。でも、現行の会計制度では全部流しか認められてないので、必然的に全部流を学ばされていた訳なんだよ。そもそも全部流って何だと思う?恐らくこのシリーズを最初から読んでいたらすぐに分かったんじゃないかな。全部流って全部原価計算のことなんだ。全部原価計算は製品を作るのに必要な材料費・労務費・経費の全ての原価要素を製品原価の範囲に含めて計算する方法だ。何を当たり前のことを言ってるんだと思うけど、その当たり前のやってるのが全部流。
それに対して直接流とは何か?1回目から読んでる賢明な読者ならもう分かったと思うけど、原価要素のうち変動費のみ抜き出して製品原価を計算する方法だ。そして製造固定費は製品が売れようが売れまいが全部その期の費用にしちゃうわけ。
-結局、全部流と直接流は何が違うの?
期末(月末)に売れ残った製造固定費を、費用にしないで資産(仕掛品・製品)として繰り越すのが全部流。直接流は製造固定費を全部その期の費用にしてしまうってこと。
ちなみに流派が違うので全部流と直接流は決して交わることはないよ。
全部直接原価計算とかあり得ないのでここは気をつけよう。
とりあえず口で言ってもサッパリ理解出来ないと思うので、簡単な例題を使って一緒に考えたいと思う。
例題は簡単な単純総合原価計算なんかどうかな?仕損も無いし、しかも単一工程だから超簡単だ(笑)
とは言え、この例題は既に本試験レベルを軽く超えているかも知れない。仕掛品と製品に期末在庫が発生してるからね。
それでも総合原価計算で一番シンプルなやつだからいくらなんでも解けないとおかしい。少なくてもオードソックスな全部流は今までどおり計算するだけだぞ?
まずはこの問題を読んで率直に何を感じただろうか。難しいと感じた?
まあ、練習なんだから気楽に一緒に解いてみよう。まずは、単純総合原価計算の問題として資料を整理してみようか。総合原価計算って直接材料費と加工費に分けて計算してたと思うけど大丈夫かな?加工費は直接材料費以外の原価要素だ。
とりあえず、今までやってた全部流からやってみるのがいいだろう。
-変動費とか固定費とか難しく感じます。。。
今までそんなこと気にせず解いてただろ?
全部流なんだから変動も固定も無視して解いたらいいんだよ(;^ω^)
-あれ?期末仕掛品と完成品の配分方法が書かれてません!
いいところに気がついたな。素人が作ってるんだから細かいことは言うな(;^ω^)
そもそも期首在庫がないから配分方法は平均法だろうが先入先出法だろうが結果は変わらんぞ!
このブログ問題では不備も多いと思うがその辺は空気読んで欲しい(笑)
おっと、その前に解答用紙を掲載しておこう。
いや~、ちょっとビビるかも知れないけど意外と簡単だからやってみようか。続きをクリックしてね!
]]> 何がともあれ総合原価計算なんだから仕掛品と製品のBOX図をまとめてみよう。次に直接材料費の集計からやってみよう。
当月投入量は100個で@¥40だから¥4,000だ。
超簡単!!当月投入量は¥4,000。上の図のどの部分か分かるよな?
加工費は直接材料費以外だから、残りの製造原価は全て加工費になる。
直接労務費¥1,800+製造間接費(¥9,000+¥3,600)=¥14,400
簡単だろ?一瞬で求まったよな(笑)
後は販売費と一般管理費は製造原価に関係ないからとりあえず無視しよう。
で、それで当期製造費用を更にまとめたのがこれだ。
あら不思議。資料がいつもの見慣れた景色になったと思わないかい?
変動費と固定費については全部原価計算ではとりあえず無視でいい。この数字をさっきのBOX図にあてはめてみると・・・オレンジの部分が埋まったようだ。後はいつも通りの計算をして製品勘定に流して行けばOKだ。
製品勘定も便宜上、直接材料費と加工費に区分してるけど気にしないで欲しい。
ピンクの金額が直接材料費でライムグリーンが加工費。ここまで仕上げれば全部原価計算の損益計算書は埋められると思う。
計算方法は大丈夫かな?単純総合原価計算が分からなければ先にそちらを勉強しよう。
そしてこれが解答だけど合ったかな?
売上高は工業簿記の知識が無くても計算できるから常に一番最初に埋めよう。
どんな原価計算をやっていようが、@¥400で50個販売してたら答えは一つだ。
月初製品在庫は無かったので¥0で問題ないと思う。
当月製品製造原価はどこの数字を指すのか改めてしっかり理解しよう。赤い矢印の部分だ。つまり当月完成品原価のことをいうので、¥3,200+¥12,800=¥16,000だ。今まで総合原価計算の問題で損益計算書はあまり出てこなかったから戸惑ったかも知れないが、いい機会だからしっかり覚えておこう。
当月に完成した製品が80個で月末に売れ残った製品が30個あるので、当月に費用に出来るのは50個部分のみだ。大丈夫かな?この50個を売上原価として費用化する。上の図ではこの後の都合上、製品をあえて直接材料費と加工費で金額を分けてるけど、普通にいつも通り80個¥16,000を50個分と30個分で按分すればいいよ。すると売上原価は¥10,000になるね。
売上高と売上原価が求まったので売上総利益も求まる。そして、販売費及び一般管理費を計算すれば全部原価計算による損益計算書の出来上がりだ。
早い話、変動費や固定費は関係なく今まで通りに計算するのが全部原価計算だったわけだ。
それに対していよいよ本題の直接原価計算の場合を見ていこうじゃないか。
直接原価計算は何度もしつこく言うが、製造原価になるもののうち固定費は全て期間費用に計上する方式だった。この直接流と全部流の違いは口で説明するより次の図解で示したいと思う。まずは先程の当月製造費用を再掲しよう。今度は変動費と固定費を浮き上がらせて表示させてみる。直接流は変動費と固定費の区分けが重要なんだ。
そこで、この中で固定費はどの部分か分かるかい?
そう、加工費の¥3,600だよね。全部流だとこの加工費が最終的にいくら費用になったのか、もう一度勘定の流れを確認してみよう。
固定費部分だけを水色でピックアップしてみた。この問題では¥3,600が製造固定費。
さて、この固定加工費部分の水色の数字・・・最終的に当月の費用となったのはいくらでしょうか?
按分計算を仕掛品と製品で計算してやっと求まった(;´Д`)
そう、売上原価部分の¥2,000円のみだ。期首在庫が無いから図を見れば何となく分かったと思う。
直接流ではこの最初の¥3,600をいきなり費用化する。次の図でイメージして欲しい。
製造原価にしないのだから仕掛品や製品を経由させたややこしい計算はスルーだ。
考えたらこんな楽な計算方式はない。直接流は原価計算というよりは製造固定費をどう扱うかの違いだから苦手意識を持つ必要はないよ。
全部流では¥2,000を費用化したが、直接流では¥3,600が費用化になる。
この違いが結局最終値に影響を及ぼすんだ。
それでは直接原価計算の売上原価を求めてみよう。
直接流では変動費のみが製造原価になるので、直接材料費と加工費の数字は上図のような感じになるハズだ。ピンクの数字が直接材料費、ライムグリーンが加工費だ。もちろんどちらも変動費。
これを計算すると変動売上原価は、¥2,000+¥6,000=¥8,000になる。
これが求まると後は自然と解答欄を埋められると思う。
解答を見て数字が合ってない箇所はしっかり見直しをしてみよう。
全部原価計算の営業利益と比較して¥1,600少なくなっているよね?
これは先程の固定製造費用が全部原価計算では全て費用になっていないことによるズレなんだ。つまり、直接原価計算の方が費用になる金額が必然的に大きくなるだろ?言い換えるとその分利益は減るってことだ。次回に詳しく見ていくけど、この差額は全部原価計算だと棚卸在庫となっているよ。先程のBOX図で確認して欲しいんだけど、全部流だと期末仕掛品に¥400、期末製品に¥1,200の固定製造費用が在庫に残ってたハズだ。
結局この違いが最終的な全部流と直接流の営業利益の差になっているんだよ。
日商簿記2級の検定試験では、全部原価計算と直接原価計算の営業利益を解答させる問題も出題されているのでここはしっかり理解したいところだ。ここについては次回の固定費調整でガッツリ確認しようと思ってる。
さて、折角直接原価計算の損益計算書を作って頂いたのでこの前学んだCVP分析でもやってみる?(笑)
いかがでしたでしょうか?問1と問2はさすがに楽勝で解いて貰わないと困るぞ(笑)
問3は少し難しく感じたかな?難しく見えるだけで全然簡単だと思うよ。
2割引きだと販売単価は@¥400×(1-0.2)=@¥320
60個販売だと売上高は@¥320×60個=¥19,200
変動費は変わらずなので1個あたり変動売上原価¥8,000÷50個=@¥160
それに変動販売費が1個あたり@¥20なので合算して@¥180×60個=¥10,800
貢献利益は、¥19,200-¥10,800=¥8,400になる。
これが固定費??+今月の営業利益¥4,400と同額になれば良いのだ。
つまり、固定費??=貢献利益¥8,400-¥4,400=¥4,000
今月の固定費¥6,600から¥4,000を引いた金額が解答になる。
まあ、難しく感じるかも知れないけど、どんな切り口で解答を求められても答えを導き出せるように練習して欲しいな。次回も例題を使いながら固定費調整を勉強していこう。
前回は直接原価計算について簡単ですが概要を記事にしました。
まずは前回の記事を読まれてない方は先に読む事をお勧めしますよ(笑)
直接原価計算は原価計算というよりは、社長のために役に立つ経営資料として作成する意味合いが強く、製造原価に固定費を入れないことで今後の利益計画の参考になる資料として有用なのです。しかし、そんなこと言われても何がどう有用なのかサッパリ分かりませんよね。今回学習するCVP分析はその直接原価計算による損益計算書で分析を行いますので、今回は是非とも皆様にその破壊力を体感して楽しんで貰えたらなと思っています。
また、たまたま日商簿記検定2級の範囲ではありますが、あまり固くならずに読み物の一つとして軽く読んで頂ければいいかなと思ってますよ(笑)
全然関係ないですけど、1日24時間って少なすぎると思いませんか?歳を取ると本当に1日が短くなって30時間位あっても足りない気がします。そもそも睡眠時間が凄くもったいないなと感じます。人間眠らなくても生きていけるならどれだけ時間を使えるだろう。そして仕事している時間はどう考えても削れません。お給料貰えないと生活出来ませんからね。そう考えると1日で自由に使える時間って意外と少ないなぁと感じます。
実は難しそうに感じるCVP分析もそんな妄想と願望が入り交じった悩みの社長版なんですよ!
もっと実感して貰うためにお金で考えてみようか。あなたは一人でアパートを借りて、会社に勤めながら楽しく過ごしていたとしようじゃないか。給料は毎月20万円です。でもアパートの家賃が毎月6万円、食費も同じく6万円、スマホの通信費や水道光熱費などの生活費が毎月3万円、そして生命保険・傷害保険に入ってるので毎月2万円。これら合わせて17万円。節約する気も無いので毎月必ずこの金額が発生するとしたら自由に使えるお金はいくら?そう、3万円ですよね。例え会社をクビになったとしても収入は無くなるのに家賃や食費は削れません。いくら節約しても限界ってものがあるよね。もし仮に会社をクビになってアルバイトを始めるとして月収が半分の10万円になったら一体どうなるだろう。どうやって生活しようか不安にならないか?
実は会社の社長も同じような悩みを常に抱えているものなんだよ。
さっきの例でも挙げたけど、何もしないのに発生する費用を固定費と言うんだ。これが社長にとっては本当に気に食わない存在の費用なんだな。少し考えてみて下さい。ちょっと疲れたからしばらく合格必勝ダルマを作るのを止めたって決めても、確かに作らないのだから材料費は掛からないかも知れません。しかし、家賃や工場の減価償却(工場長の給料もw)などは時間が経つだけで必ず発生する費用だ。冗談じゃないよ、まったく。
そう言えば、直接原価計算の損益計算書は変動費と固定費に区分してましたね。
簡単におさらいしてみようか。
数字は気にしないで項目を確認すると、売上高から変動費と固定費を引いて利益を計算しているんだなと理解出来るかな。変動費は売上高と連動しているので、基本的に売上が発生しない限りは変動費も発生しないものだと考えて下さい。問題は固定費だ。息するだけで発生する固定費を社長目線からすると非常に目障りな存在なんだ。これが無ければいいのに!
君がワンルームマンションを借りて一人暮らしを始めたとしよう。するとせめて家賃分は稼がないと生活出来ないなと思わないかい?実は社長も似たような事を考えているんだよ。せめて固定費分は稼がないと確実に赤字になって会社がつぶれちゃうかも知れないってね。ゼロからスタートならいいんだけど、固定費があるとその分はマイナススタートになるから大変なんだ。固定費がなけりゃどれだけ楽だろう。
しかし、固定費だって売上に貢献している費用だよね。工場無ければダルマ作れませんし、工場長が居ないとどうやって工場を動かすんですか。とはいえ社長の気持ちも良く分かる。何もしなくても出て行くお金は辛いのだ。さて、社長は儲けることを考えるのも仕事だけど損を出さないことも第一に考えるものなんだ。赤字になれば会社がつぶれて従業員が路頭に迷うことになるからね。
そこで、上の損益計算書をもう一度見て欲しいのだけど、せめて何もしなくても発生する7万円分を稼いで、赤字にならないようにするにはどれだけ合格必勝ダルマを売ればいいのだろう?まあいきなり言われても難しいと思う。7万円だから7万円分売り上げれば赤字にはならないと思うかい?
実際に7万円を売り上げた場合の損益計算書はこのようになった。
売上が20万円でも7万円でも固定費は必ず7万円掛かるのが社長にとって非常に気に食わないようだ。
-あれ?赤字になってますね?
そうだね、実は売上が7万円でもそれに連動して発生する変動費の存在があるので純粋に7万円を儲けることは出来ないんだ。ややこしいだろ?
-変動費は売上高と比例関係にある費用でしたよね。それならいい計算方法がありそうですね。
良い所に気がついたね。その前に上の図の赤く書かれた「貢献利益」に着目して欲しい。これは何かっていうと売上高からそれに応じて比例的に発生する変動費を差し引いた利益なんだ。その赤く書かれた貢献利益が固定費と同じになれば損は出ないって思わないか?
-あ、確かにそうですね。計算方法は分からないけど貢献利益が70,000円になれば固定費70,000円だから赤字にはなりませんね。
そこに気がついたらもう答えは出たようなものだ。
ちょっと長くなったので面白いなと感じたら続きをクリックして先に進もうぜ!
簿記検定で直接原価計算の問題が出題されれば、損益分岐点の販売数量や売上高を計算させる問題が多いので出来ればここでマスター出来ればいいかもね。簿記のテキストでは何かややこしいグラフや数式が載ってたりするけど、基本的にこの理屈が分かっていれば大体解けるものなんだ。
それでは簿記検定チックな問題を題材にして一緒に解いて見よう。
当たり前だけどまだ絶対に解けないから安心して欲しい。もしかしたら問1は天国と地獄の境目を求める問題なので解ける人は居るかも知れないけど・・・
まずは問題を読んで何を言ってるのか分からなかったと思う。分からなくて当たり前。まず問1だけど損益分岐点は先程少し触れたけど損も得もしない天国と地獄の境目だったよね。これは貢献利益の金額と固定費の金額が一致すればそこが損益分岐点になるよ。つまり固定費が54,000円だから貢献利益が54,000円になればいいんだ。逆算して貢献利益が54,000円の時の売上高はいくらになるだろう。
よく見るとダルマ1個1,000円で販売している。そしてそのうちの400円は変動費と書かれている。言い換えるとダルマ1個売れば600円の貢献利益と呼ばれてるものが増えるって読み取れないかい?
-本当ですね!1個600円だからこれを54,000円にしようと思えば・・・54,000円÷600円=90個ですね。
その通り!90個売ればちょうど損も得も出ない損益分岐点になる。問題は売上高を求めてるから1,000円で掛ければ解答が出てくるね。
次は問2にチャレンジしてみよう。売上営業利益率を聞かれているけど、売上に占める利益の割合を利益率と呼ぶんだ。売上営業利益率は売上に占める営業利益の割合のことを言ってるよ。ここまでヒントを出せば解けるんじゃないかな?
-営業利益は54,000円と与えられてるから売上高に占める割合を求めればいいんですね。
そうだね。つまり54,000円÷180,000円とすれば答えは出るよ。意外と簡単だろ?
問3は少し手強いぞ。安全余裕率って何だろう?初めて聞く用語だから難しいと思うけど、例えばあなたが日商簿記検定を受検して自己採点したとしよう。自己採点の結果は80点だった。合格点は70点でいわゆる天国と地獄の境目。安全余裕率と言うのは自己採点の80点から勘違いや思い込みで点数を失っても、天国と地獄の境目の点数の70点を死守出来る割合と言えばいいのかな。
-天国と地獄の境目から離れれば離れるほど安全なイメージがありますね。
この例だと自己採点から10点失っても合格出来るだろ?つまりこの10点が自己採点80点に占める割合を安全余裕率って言うんだ。10点÷80点=12.5%になるよね。つまり自己採点から12.5%失っても天国と地獄の境目で合格出来るってことなんだ。それが理解出来れば上の問題も解けるんじゃないかな?
損益分岐点の売上は問1で90,000円。つまり実際の売上は180,000円だから90,000円も余裕がある。この90,000円が実際の売上180,000円のうちに占める割合を求めると50%になる。これが答えだ。つまり実績売上180,000円の50%を失っても損益分岐点の金額になって損は出ないということだ。
問4は一見すると非常に難しそうな気がする。しかし冷静に考えれば超簡単だ。
損も得もしない売上高を求めようとすると貢献利益と固定費が同じになる金額を探れば良かった。でもやっぱり得したいんだよな?儲けが欲しいんだろ?それなら固定費とその儲けたい金額を合わせた金額が貢献利益と一致すればいいだけの話なんだ。この問題で言うならば固定費54,000円に営業利益90,000円を合計した144,000円が貢献利益になればいいわけ。拍子抜けするほど簡単な理屈だろ?こんなのが一撃で求められるから直接原価計算の損益計算書は有能なんだよ。ダルマ1個売ると600円の貢献利益が得られるんならもう答えは求まったも同然じゃないか。
144,000円÷600円=240個。これを1個1,000円で販売しているから240,000円が答えだ。
これでCVP分析が理解出来たかい。そんな訳ないよな。こんな簡単に理解出来たら苦労はしない。でも安心して欲しい。こんなのは慣れだ。問題を解いて解き慣れれば自然と身に付くよ。あと、オススメしないのはテキストによく載っている公式や単に解き方だけを覚えてパターンで解くこと。こんな解き方していたら、切り口変えて応用問題を出題されたら手も足も出なくなるもんなんだ。だからまずイメージして理解することを優先的に取り組んで欲しいんだ。
そんな訳でもう一題問題を解いてみようか。
問題文を読むとなんか凄く難しそうな匂いが漂ってるけど、実は最初の問題と難易度は変わらない。
損益計算書も項目が増えてるけど、結局変動費と固定費を単純に細分化しているだけなんだ。落ち着いて分かる所から解いていこうぜ。当月は6,000個製造して全て1個200円で販売したと書かれている。答案用紙にも売上金額が1,200,000と予め記入されているので単位は円なんだろう。また売上は当期製造した6,000個だけだった事が読み取れるので期首と期末在庫は無かったと推察される。
-答案用紙の損益計算書の項目が沢山あって混乱します。
確かに初見だと戸惑う部分はあると思う。それでも直接原価計算の基本は同じだ。
これが一番シンプルな基本的な直接原価計算の損益計算書だ。
問1で求められているのはこれを少し詳細に区分したものなんだ。難しく感じるのは変動費と固定費が細分化されているからじゃないかな。CVP分析を行うだけだったら変動費は変動費、固定費は固定費で全部まとめちゃってもいいんだよ。CVP分析はこのシンプル版が書ければ公式やグラフなんて覚えなくても余裕で解ける。とりあえずそれは後のお楽しみにして先に問1を解いてみよう。
直接原価計算の場合は変動費と固定費に分けて集計する事が重要だったよね。
しつこいけど、問題文を読んで何が変動費で何が固定費なのかしっかり把握する事が大事なんだ。
それでは問1から順番に解いてみよう。まずは変動費と固定費をハッキリさせるよ。
変動売上原価 → 変動費
変動販売費 → 変動費
製造固定費 → 固定費
固定販売費 → 固定費
一般管理費 → 固定費
変動費と固定費の区分は何となく直感で出来たかも知れないね。
売上原価には製造費用のうち固定費は一切含めないのが直接原価計算の特徴だったよね。それは何故か?前回の記事で工場長が社長に怒られてたよね。忘れたなら読み直そう。だから売上原価と呼ばずに変動売上原価と呼ぶのが一般的なんだ。と言うことで変動売上原価の金額は何となく出せないかな。多分これが一番簡単に出せる。製品1個あたりの製造費用のうち、変動費の明細が全て問題文に書かれているからね。あと、それを製造した6,000個を乗じて計算すれば導き出せるだろう。
変動売上原価:(30+25+20)×6,000個=450,000円(変動費)
変動製造マージンと言うのは売上高から変動売上原価を差し引いた利益をそう呼ぶんだけどメチャクチャ憶えにくい用語だ。しかもたまに簿記検定で変動製造マージンと書かせる出題もあるけど、正直何考えてるんだろうって思う。ただ憶えられるなら憶えた方が良いとは思う。
変動製造マージン:1,200,000-450,000円=750,000円
変動販売費は初めて出てくる費用だけどこれも変動費の仲間で問題でもよく出題されてるよ。変動売上原価と同じく売上(販売量)の増加に伴って比例的に発生する費用だ。例えば商品を包む包装紙などが該当する。製品1個販売するのに5円の販売費が発生しているのでこれも簡単に求まるよね。
変動販売費:5×6,000個=30,000円(変動費)
そして出てきました貢献利益。貢献利益は売上高から全ての変動費を差し引いた利益の事を指してたよね。本問の変動費は変動売上原価と変動販売費なので、売上高からそれらを差し引いたものが貢献利益だ。
貢献利益:1,200,000-450,000-30,000=720,000円
そしてお待ちかね固定費だ。社長の頭を悩ます固定費。答案用紙をみると3つの固定費が記載されている。全部埋められるかな。製造固定費は本来は売上原価となるべきものだけど、販売数や在庫に関係なく全部その期間の費用にしてしまうものでした。製造間接費総額から変動製造間接費を差し引けば固定製造間接費が求まる事に気がついたかな?
固定製造間接費:520,000-(20×6,000個)=400,000円
当月総製造費用が850,000円なので、変動製造費用450,000円と固定製造間接費400,000円の合計額で一致する。つまり固定製造間接費がそのまま製造固定費ってことになるんだ。要するに今回の問題で直接材料費と直接労務費の中に固定費は無かったとも言えるね。蛇足だが期首も期末も在庫は無いので変動売上原価=変動製造費用になることに注意しよう。
ただ、製造固定費だけ求めるのであれば総製造費用が分かってるからもっと簡単に出せる。
総製造費用から変動費部分を差し引けば良いだけだ。850,000円-450,000円=400,000円だね。この問題では製造固定費の内訳までは求められていないのでこっちの方が断然早いぞ。
製造固定費:400,000円(固定費)
固定販売費は販売費総額60,000円から変動販売費30,000円を差し引いた金額になる。
固定販売費:60,000-30,000=30,000円(固定費)
固定一般管理費は問題文より50,000円(固定費)である。これで問1の損益計算書の項目が全て埋まる。
営業利益は貢献利益から固定費を引いた額なので後は簡単。
営業利益:720,000円-(400,000円+30,000円+50,000円)=240,000円
これで問1は終了。難しかったかも知れないし、意外と簡単だったかも知れない。でも直接原価計算の損益計算書を作成させる問題で問われているのは、正しく変動費と固定費を区分して計上出来るかどうかだから沢山の問題を解いて慣れるといいと思う。本来はそんなに難しくはないハズだけど、普段と感覚が違うので久しぶりに解くと戸惑ったりするからね。
次に問2を解いてみよう。
その前に先程の問1の解答をシンプルな損益計算書に置き換えてみるよ。
皆さんもCVP分析の際には最低限このシンプルな損益計算書は作れるようになって欲しい。
このシンプルな直接原価計算の損益計算書があればCVP分析は楽勝。損益分岐点は天国と地獄の境目だったね。求められているのはその境目の損益分岐点の売上高だ。この損益計算書を見れば固定費は480,000円だから貢献利益が同額の480,000円になった時に損益分岐点になるんだったね。
最初に解いた例題でもそうだったけど、この問題でも1個あたりの売上高と変動費が全て問題文に書いてある。つまり答えが問題文に書いてあるようなものだ。早速、製品1個売るといくらの貢献利益が得られるのか計算してみよう。
製品1個あたりの貢献利益
200円-(30円+25円+20円+5円)=120円
色が青い部分が1個あたりの売上高、緑色の部分が変動費、赤が貢献利益だ。製品1個売ると120円の貢献利益が得られる。固定費はいくらだっけ?さあ、いくら売れば損は出ないのかな?
固定費=400,000円+30,000円+50,000円=480,000円
固定費は単純に足せばこのように計算される。この金額は当月の固定費総額だ。間違っても製品1個あたりの固定費じゃないので気をつけよう。固定費は全てその期間の費用として一括計上される。それでこの固定費分を稼がなきゃ赤字になるので、作った製品を売りまくるのだけど1個売れば120円の利益が稼げる。もう分かるよな?損益分岐点の販売数量は下記の計算で求まるよ。
480,000円÷120円=4,000個
4,000個売ればとりあえず赤字は避けられそうだ。当月は6,000個販売してるから間違いなく黒字だね。そんな分析が自分で出来るようになればもう君は直接原価計算のスペシャリストだ。解答で求められているのは損益分岐点の販売数量ではなく売上高だったね。サクッと求めてみようじゃないか!
損益分岐点の売上高
4,000個×200円=800,000円
最後に問3だ。これが超難関のなので解けない人は沢山居るんじゃないかな・・・と思う。まずは目標営業利益率って何だろう。凄い難しそうな用語使ってどう見ても厨二病全開って感じだけど、目標にしている営業利益率とイメージ出来ればOKだろう。営業利益率は売上高に占める営業利益の割合を言うよ。売上が100円で営業利益が20円なら営業利益率は20%だ。難しいかい?
問3ではこの営業利益率が30%になる販売数量を求められているんだ。どう考えてもそんなの解けるわけないわな。でも中学1年生で学習する1次方程式の知識を駆使すれば簡単に解ける。残念ながら小学生の皆さんはとても厳しい。そこは申し訳ないと思う。
まず変動費は製品1個あたりに対して比例的に発生する費用なんだ。この問題で言うと1個200円の製品に対して変動費が80円発生しているのが分かるかな?別に1個じゃなくても2個でも6,000個でも比例関係にあるから問1の解答欄を見て計算しても同じだ。売上高1,200,000円に対して変動費の合計は480,000円だろ?これが何を表しているのかと言うと・・・
上図を確認して貰いたいのだけど、売上高Sに対して変動費はSの4割という関係にある。つまり0.4Sと置き換えることが出来るんだ。貢献利益も連動しているのでS-0.4S=0.6Sになるのは分かるかな?貢献利益を0.6Sと出来るなら1次方程式を使えば損益分岐点もあっという間に求まるぞ。
0.6S=固定費480,000円
S=800,000円
うおおおお!スゲー!!!!
もっと早く言えよ~ヽ(`Д´)ノプンプン
まあまあ、1次方程式とか高度な数学の知識を使わなくても解けるのを知って貰いたかったんだ。それに今求められているのはそこじゃない。目標営業利益率30%の販売数量だったよね。これは次のように表されるのが理解出来るだろうか。目標営業利益率は売上高に占める目標営業利益の割合だから0.3Sになるんだ。
営業利益はオレンジの部分だけど何となくでも理解出来ますか?
先程述べたように目標営業利益率30%なので0.3S。オレンジ部分が0.3Sになればいいので方程式が組めないだろうか?1次方程式の高度な知識を持っているあなたなら楽勝だろう。
0.6S-480,000円=0.3S
この方程式を解くとS=1,600,000円になる。目標営業利益率30%の売上高は1,600,000円なんだ。なので販売数量も1個あたり200円で販売しているので簡単に求められるだろう。さあ、とどめを刺そう。
1,600,000円÷200円=8,000個
これが問3の答えだ。これで全ての解答欄が埋まったので模範解答を載せておこう。
いかがでしたか。CVP分析は思ったほど難しいとは感じなかったのではないだろうか。
シンプルな損益計算書を使えば公式を知らなくても解けると思わないかい?しかも応用も利くので切り口を変えて出題されてもそれなりに対応出来るメリットもあるよ。特に1次方程式が使えると鬼に金棒なので出来ればマスターされることを望みます。
最後に応用問題を2つ載せておくので各自チャレンジしてみて欲しい。あえて解答は載せてないがここまで熱心に読んでくれたあなたなら余裕で解いてくれるのではなかろうか。どうしても分からない場合はコメント欄に書いてくれれば答えは教えますよ(笑)
一夜漬けで覚えるシリーズが好評のため、標準原価計算に続いて直接原価計算も書いてみようと思います。
直接原価計算は日商簿記2級で出題される項目としては苦手意識を持たれている受験生は多いのではないでしょうか?それは直接原価計算が、今まで工業簿記を学習してきた流れで製品原価を計算する方法の一つではないかと思い込んでいるからではないでしょうか。直接原価計算は原価計算と名前が付いてますが、全然別の科目を学習する気持ちで一度頭を真っ白にして読み進めて下さいね。
まずは会計のルールについて簡単におさらいしておきましょう。
これは原価計算とは関係なく簿記3級レベルのお話なので気楽に流して下さい。会計では商品・製品に関わらず、売り上げた物についてその原価を計上するルールがあります。商品だと仕入原価、製品だと製造原価です。どうしてこのようなルールになっているのでしょうか。例えば当期に1,000円で商品を仕入れたとします。仕入れたけれども全く売れなかった。売上は0円なのに売上原価が何故か1,000円っておかしいですよね。売ってないんだから。つまり商品を仕入れたからと言って必ず費用になるかと言われればそうではなく、売れない限りは費用とはならないのが現在の会計のルールです。
これは製品についても同じ事が言えて、材料費、労務費、経費を掛けて製品を作りますよね?
工業簿記を今まで学習してきたならば理解出来ると思います。しかし、製品を作ったけどもこの製品が売れない限りは同じく費用にはなりません。
この方式の利点は、例えば800円で買った(又は作った)商品を1,000円で売ったとします。すると売上の2割部分が利益になるはずです。売った物に対応する物を原価として計上するならば、どのタイミングで計算しても売上金額の2割が利益として計算されているハズです。ところが売れてないのに売上原価として費用にしちゃったらどうなるでしょう。
極端な例ですが、第1期で800円で購入した商品を第2期で1,000円で売った場合。上図のように計上してしまうと、確かに通算したトータルでは売上1,000円の売上原価800円で利益は2割の200円になります。しかし、会計期間で区切って期間損益計算をする現在のルールでは非常に分かりにくいのです。そこでどうするのかを考えて出した答えが下図です。
第1期は商品を売ってないので、常識的に考えれば対応する商品原価は存在しません。そこでその仕入れた商品原価はどうするのかと言うと、繰越商品(資産)として貸借対照表に載せて繰り越します。収益や費用は期が変わるとリセットされますが、現金や商品などの資産は持ち越せます。ここは簿記の基本ですよ?(笑)
なので資産として持ち越して翌期以降で費用化していくのです。
そうすると上図のようになるのですが何となく見やすくなったと思いませんか?第2期はちゃんと売り上げた商品の2割が利益になってます。このように期間ごとに売上と売上原価をしっかりと対応させて、本来の利益率が正しく表示出来るのが現在の会計のルールなのです。とても優秀な制度です。
それでこれが直接原価計算と関係あるのかと言うとありませんよね。←おい
ただこの前提を知っているとこれから本格的に直接原価計算の話をして行きますが、とても理解しやすくなると思います。だからあえて時間を割いてここまで説明してきました。大丈夫でしょうか。
それでは本題に入りますので続きをクリックして下さい。
合格必勝ダルマは毎月100個売れるので毎月100個作ってたとしよう。
ダルマを作るのに材料費、労務費、経費は必要ですがとりあえず説明しやすいように細かい事は全て省略するよ。但し、変動費と固定費には区分します。直接原価計算は変動費と固定費の区分が重要な論点だからなんだ。しかし、あまり気にしないで読み進めてみようぜ。変動費とは何かというと材料費のようにダルマを作る個数に従って比例的に増えるものです。ダルマ1個作るのに10円の材料費が掛かるなら100個作るのに1,000円掛かるハズだ。逆に固定費とは何もしなくても掛かる費用を言うんだ。工場長の月給とか工場の減価償却費とかだな。ダルマを作ろうが作るまいが工場長の月給は払わないと恨まれるだろ?(笑)
ここで上の図を見て欲しい。ダルマ1個作るのに変動費は10円掛かっているので100個作れば1,000円だ。意外と楽勝だと思う。固定費はダルマを作ろうが作るまいが必ず1,000円発生している事を表している。何もしなくても毎月1,000円の固定費が発生しているんだ。つまり変動費と固定費合わせて100個作るのに2,000円掛かっているから1個あたりの製造原価は20円になる。ここまではOKかな?
さて、1個20円で作ったダルマを30円で販売したらどうなるだろう。1個あたりの儲けが10円だから100個売れば1,000円の儲けだ。上図の利益も1,000円と表示されているので間違いなさそうだ。
ここまで理解出来たら先に進もう。毎月100個作ってたのに、ある時工場長が間違って200個分作ってしまった。この場合はどうなるだろうか見てみよう。200個作っても売れるのは100個の前提で考えて見よう。
200個作ったので変動費は2,000円、固定費は変わらないから1,000円のままだ。つまり製造費用は合計3,000円だよね。売ったのは100個は変わらないから売上は3,000円。ここで会計のルールに従って200個のうち100個は在庫として売れ残っているので費用には出来ない。つまり半分の1,500円しか売上原価として計上出来ないのは最初に話しをしたので分かって貰えると思う。大丈夫かな?なので利益は1,500円だ。
-あれ?前月も今月もダルマを同じ100個販売してるのに利益が上がってますよ?
うん、良い所に気がついたね。実は固定費がいくら作っても変わらないから、作れば作るほどダルマ1個に対する固定費が小さくなって1個あたりの製造原価が小さくなるんだ。固定費は1,000円だから100個作れば1個あたりの固定費は10円だろ?200個作れば1個あたり5円になる。変動費は何個作ろうが1個あたり10円だけど、固定費は作れば作るほど1個あたりの製造原価を低くする効果があるんだ。だから100個作れば1個あたりの原価は20円だったけど、200個作れば1個あたり15円になるんだよ。つまり利益率が大きくなるね。
販売数量は変わってないのに利益が1.5倍になる事に気がついた工場長。。。
(^ω^) 「そや、ダルマいっぱい作ったらええんや!!」
調子に乗って1,000個作ってみましたw
1,000個作ったら何と1個あたりの製造原価が11円になって同じ100個の販売量なのに利益が1,900円になって大儲けです。工場長はドヤ顔で社長に報告に行きますが・・・
( ゚д゚ ) 「これって何かおかしくないか?」
社長の思わぬ言葉に工場長も戸惑います。
社長の立場からすれば、例えば材料費を営業努力で安く仕入れるとか、人材配置を見直して人件費を下げるとか、電気代を節約して経費を下げるとか、汗水流して製品原価を下げるものだと思ってるのに、ただ単に沢山作ったから製造原価が下がって儲かりましたとかふざけてるんじゃないかと思う訳です。
しかし、工場長も引き下がりません。
(;´Д`) 「いや、社長。ちゃんと会計のルールに基づいて出した利益ですから・・・」
いやいや、社長は反論します。社長にとっては会計のルールとかどうでもいい話で、そもそも固定費って何もしなくても毎月発生するものだろ?全部が全部とは言わないが減価償却費や給料など大体毎月同じ位の金額が発生している。それなら毎月同じ金額を費用にするのが筋じゃないのか?工場長の給料は毎月30万円だっけ?毎月30万円給料として払ってるなら毎月30万円を経費にしないとおかしくないか?何?工場長の給料は製造費用だから製品原価に含まれるだと?だから作った製品が売れない限りは費用に出来ないのが会計のルールだと??
(#゚皿゚) 「お前、ふざけてるのか!!」
社長の言い分はかなり説得力あります。固定費って以前にも触れましたけど結構な割合を占めてるものなんですよ。給料(月給)や減価償却費もそうですけど金額の大きな項目が結構あります。しかも毎月同じような金額で発生するものが多いのだ。それが製品の売上げ具合に応じて費用になるとかならないとか普通の感覚でいくと明らかにおかしい。
(;´Д`) 「え、いや、その・・・」
狼狽した工場長を尻目に社長はとどめを刺します。
( ゜Д゜)y─┛~~ 「で、そんなに沢山作って売れるのか?」
(#゚皿゚) 「それを売るのが社長の仕事だろーが!!」
とはさすがの工場長も言えませんよね(笑)
目先的には随分と利益が出ているように見えますが、残った900個のダルマが売れないと悲惨な事になります。最終的にはゴミ同然となって捨てるしかなくなるでしょう。そうなればそれら製品は全て廃棄損となり莫大な損失となります。とりあえず毎月100個は売れてるので当面は操業をストップさせるか・・・社長の悩みは尽きません。
とにかく今の損益計算書では社長からしたら何の意味もなさないので、自分用にカスタマイズして作らせます。そもそも固定費なんて毎月一定なんだから最初から一定額を計上しておけと。そうして作成したのが下記の図になります。
いかがでしょう。固定費は毎月一定なんだから最初から区分して計上しています。なので売上原価は変動費のみで計算している事になる。これだと合格必勝ダルマを100個作ろうが1,000個作ろうが最終的な利益は同じだ。沢山作ったからといって利益が増えまくる変な計算書は社長的にはNGなんだね。また、社長の仕事は儲けることを考える事だけど、損を出さない事を考えるのも重要な仕事の一つなんだ。この社長用にカスタマイズした損益計算書はそう言う点で非常に見やすい計算書なんだよ。どちらかと言うと今後の販売計画に役立てる意味合いが強いんだね。この社長用にカスタマイズした損益計算書を直接原価計算の損益計算書と呼んでいるよ。
日商簿記検定2級で登場する直接原価計算の損益計算書のひな形は下図を参考にして欲しいけど、今の段階ではあまり細かい事は覚えなくていいです。どの部分が変動費でどの部分が固定費なのかな・・・程度で十分でしょう。今は少しでも直接原価計算について親しんで貰えれば、直接原価計算に対する苦手意識は無くなるんじゃないかな。次回の記事はCVP分析を先にやろうと思う。これがまた面白いんだ。
それでは次回に続くよ(^^)
全然普段通りで大丈夫ですよね(^ω^)
今回は今まで出題されたことのないクレジット売掛金について触れてみたいと思います。
その前にクレジットカードはご存知でしょうか。
実際に普段使っている人ならばイメージしやすいかも知れませんが、高校生などの学生さんだとなかなかイメージ湧きませんよね。クレジットカードは主にショッピング等でお金を持たなくても買い物が出来る魔法のカードです。こんなカードがあったら誰だって欲しいと思いますよね(笑)
もちろん買い物で買った分のお金は後で支払わないとダメなんですよ。
世の中そんなに甘くはないようです(^^)
とりあえず簡単な仕組みを学びましょう。
上図はクレジットカードを利用して買い物をする仕組みを図解しました。
簡単に言うと、カード会社が消費者の購入代金を立て替えてお店に後日支払います。お店側からするとお客さんに対して売り上げた代金をカード会社から受け取るイメージとなります。買い物をした消費者は後日カード会社に対して代金を支払います。
簿記検定で出題されるのは、お店の立場として出題されるのでまずはそこをガッチリ押さえて下さいね。
要するにダイコンを持ってるおじさんが簿記検定では主役。消費者やクレジット会社は全く関係ありません。
そしてお店の立場として考えると売り上げた代金は後日カード会社から入金されるので直ぐに受け取れませんよね?つまり掛けで商品を売ったのと同じようなイメージになりませんか?
それが理解出来ればOKです。
簿記検定で出題されるのはお店の立場である加盟店が主役です。しつこいですが、ここは大事な所ですよ。
お店(上図の○○商店)としては登場人物がお客さんとかカード会社とか複数居るので混乱しますが、要は売り上げた商品代金が貰えてない時点で掛けが発生している、つまり売掛金が発生しているのです。そのクレジットカードを利用して売った商品の掛け金を「クレジット売掛金」と呼んでいます。ここまでは大丈夫かな?
さて、ここで疑問に感じませんか?
どうしてカード会社は消費者の買い物を立て替えまでして払ってあげるのでしょうか。何か得すると思いますか?でも何も無いのにこんな事するとは思えませんよね。カード会社も会社である以上は儲けが欲しいはずです。ちょっと考えてみて下さい。
実は、消費者からはお金を立て替えてあげたお礼として立替手数料を、そしてお店からも本来お金が無くて買えない人を立て替えてまでして購入させたのだから売上手数料を貰っているのです。なんかちゃっかりしてますよね。
消費者から貰う手数料は、カード発行手数料・年会費などという名目で受け取ってます。また、分割払い等をした場合は金利もちゃっかり消費者から貰ってるんですよ(笑)
でもこれは簿記検定とは関係ないので覚える必要はありません。主役はダイコンおじさんです。大切な事なので3回言いました(笑)
なので上記の必要無い知識は豆知識程度に受け止めて下さいね。
問題はお店がカード会社に払ってる手数料の方です。
お店がカード会社に払う手数料は会社の規模や業種により様々ですが、大体1%~10%の間で取っているんですよ。例えば飲食店は比較的手数料が高めです。お店はこのカード会社に支払う手数料を「支払手数料」として処理します。
とりあえずここまで理解した所で想定問題を1題解いてみましょうね。
解けましたか?
イメージ出来ていれば仕訳の主人公が誰で、どんな仕訳になるのか難しくは無かったと思います。いずれにしても簿記2級で出題されるとしてもそれ程難しい項目ではなく、仕訳問題で出題されればしっかり得点源としたいところですね。
ところでどうでもいい豆知識ですが、消費者がクレジットを分割払いで購入した場合の仕訳はどうなると思いますか?実は消費者が分割払いにしようが、リボルディング払いにしようが加盟店はカード会社から一括で入金されます。なので割賦販売のような処理は一切行いませんし、例え消費者が代金を踏み倒してもカード会社からしっかり入金されます。お店からすればとても美味しいシステムなのですが、だからこそ高い手数料を取れるんでしょうね。
クレジットの普及に伴い、割賦販売みたいなリスクの高い販売方法はほぼ見掛けなくなりました。電話会社がスマホを割賦契約で販売しているのは有名な話ですが、お店と消費者の二者間で割賦販売契約を結ぶ販売スタイルはもうそんなに多くないと思います。日商2級で出題された特殊商品売買も意外とレアなケースなので2級から消滅したのも納得でしょうか。
ちなみにほぼ100%回収されるクレジット売掛金ですが、これって貸倒引当金の設定対象になるのか興味深いところです。いずれにしても問題文で指示があると思うので、総合問題で出題されればそれに従うまででしょうね。
そうです、そうなんです。
今回の日商簿記2級はチャンスです!!!
前回の134回はかなり合格率が13.9%とかなり低い回でした。
こういった場合は次回で調整してやさしめの問題が出題される傾向があります。しかしながら、分析すると決して楽観出来ないだろうなとも思えます。何故なら2月の合格率が47.6%とやたら高かったので、前回はむしろその調整だったとも言えます。さあ、どちらなのでしょうか。
それでも今回は合格率40%以上を出してくるような問題が出題されると踏んでいます。
試験を作る作問者は、恐らくどうしてこれだけ合格率が変動するのか不思議だったと思います。作問者のレベルが高すぎるので、恐らく受験生全体のレベルを掴めていないのでしょう。
前回の結果を受けて、今回の問題はそこそこ合格者が出るように何らかの指示があってもおかしくありません。
出題する方もそりゃ色々考えますよ。前回の二の舞だと批判が殺到しますからね。特に簿記検定のように受検者数が多く、影響力のある資格だと尚更です。だからちょっと緩めたくらいでは怖いだろうから、保守的にもう少し緩めてみるか~みたいな感じで問題作ってみたら、実はゆるゆるで合格率が予想以上に跳ね上がってしまったって事は十分にあり得る話ではないでしょうか。
少なくても合格率が低くなる可能性は少ないでしょう。
今回の日商簿記2級はやはりチャンスです!!!(笑)
それでは今回の出題予想です。
第1問 ・・・ 仕訳問題
第2問 ・・・ 特殊仕訳帳からの試算表作成
第3問 ・・・ P/L作成問題
第4問 ・・・ 総合原価計算
第5問 ・・・ 標準原価計算
それでは次ページで予想根拠を考えて見ます。
]]> まず第1問ですが、通常通りの仕訳問題が5題出題されると思います。仕訳問題は直前に対策するものではなく、日頃の勉強量(努力)に比例して点数が伸びる問題です。
また、仕訳問題は似て非なるもので同じような論点からの出題でも、出題のされ方で解法・解答が異なる場合は多々あります。つまりある程度の応用力がないと仕訳問題で合格点を取るのは難しいのです。
まず、この仕訳問題で最低3問は死守して下さい。出来れば4問以上取れるのが望ましいですが、3問取れないようでは相当厳しいです。誰もが最初にこの仕訳問題から手を付けると思いますが、注意して欲しいのは解いていて少しでも手が止まるようなら次の仕訳問題に移って自信のある仕訳から着手しましょう。と言うのも、大抵の場合は仕訳5題のうち、1題はちょっと悩むような問題が出題される傾向にあります。ここに固執してリズムが狂うと、実力者でもその後の取れる仕訳が信じられないミスをしてしまう事もあるのです。リズムを必ず守って自信のある仕訳から手を付けて、先に3問以上を確実に合わせましょう。
次に第2問ですが、特殊仕訳帳を用いた残高試算表作成問題を予想します。
これは前回と同じ予想ですが、最近の日商簿記検定2級の出題傾向は掴みにくいです。以前なら第2問は帳簿か伝票会計でほぼ間違いなくどちらかが出題されていましたが、この公式が当てはまらなくなっているからです。とは言え、前回は新しい変化球(魔球?)を繰り出して味方のキャッチャーすら驚かせてしまったようですが、今度はストレートを要求して真っ向勝負すると読んでいます。
ストレート勝負だとすると、伝票会計より特殊仕訳帳問題を予想したいです。
直近の統計では、113回、116回、117回、118回、120回、122回、124回、125回、127回、129回、131回と出題されまくってます。ところが131回から全く出題されていません。これはフラグが立っていると思っていいでしょう。
特殊仕訳帳を使った出題は苦手意識を持つ受験生は多いです。しかし、仕訳帳が1つから複数になっただけで、仕訳帳から勘定記入の流れは何ら変わりません。試算表作成問題の論点は勘定集計が正しく出来ているか・・・ここなんです。
今回は特殊仕訳帳について対策講座を用意しています。
http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/11/post-13.html
第3問ですが、総合問題のオードソックスなP/L作成問題を予想しています。
これも前回と同じですが、前回は精算表だったのでB/SかP/L作成問題だろうと安直な予想です。日商簿記検定は本支店会計が大好きなので出題される可能性も高いのですが、普通に考えるならP/L作成問題と思います。今回の第135回のキーワードは「調整」なので、調子に乗って裏を取りに行くとは思えないのです。
P/L作成問題は122回、123回、125回、129回、131回と近年になって比較的多く出題されています。123回や125回のようにP/LとB/Sの同時出題された回もありましたが、個人的にはP/Lのみの出題と考えます。また、118回のようなB/Sのみ作成する出題は考えにくいと思います。
次に工業簿記第4問ですが、総合原価計算のどれかを予想します。
正直どれが出てもおかしくないのですが、過去のデータから比較的受験生が点数を取りやすいと思う総合原価計算は間違いなく出題されると思っています。今回は「調整」がテーマです。大盤振る舞いのサービスは確実に遂行されると思っています。単純総合原価計算の基本的なものが出題されてもおかしくないとすら思えますが、順番でいうなら等級別総合原価計算が相当怪しいです。等価係数や積数といった専門用語は知らないと解けませんので、念のために再確認をお願いします。
最後に第5問です。悩みましたが標準原価計算を再度推したいと思います。
悩んだのは苦手にしている受験生が多いので、出題しにくいのではないかと思ったからです。シュラッター図で戦意喪失して心がシュレッダーで粉砕されたようにバラバラになってしまい、合格率が伸び悩む事を心配した主催者が見送ろうと考えるのもあり得そうです(笑)
まあ、しかしながら比較的点数を取りやすくアレンジして出題されると期待しています。標準原価カードに厚めに配点があると予想していますので、しっかり復習して挑みましょう。
前回と同じ対策講座のリンクを掲載しておきますが、それほど気合を入れなくても良いとは思います。
前編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/post-12.html
中編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/134-1.html
後編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/134-2.html
明日の日商簿記検定を受検される方は頑張って下さいね。
]]>また、特殊仕訳帳の問題で満点を取ろうとするとかなりの時間を要することから実践的にプレッシャーが掛かりやすい理由もあります。
今回の記事では、第2問を後回しにして時間が足りなくなって解くのにあまり時間を掛けられない。とりあえず部分点だけでも確保したいって方を対象に読んで頂ければと思います。
少し長くなりますが、どうぞお付き合い下さい。
まず、特殊仕訳帳は仕訳帳です。普通仕訳帳と同じで仕訳を記入して勘定に転記します。
これが今イチ分かっていない人が意外といるのかも知れません。
まあ、そんな何も分かっていないあなたにも、そこそこ点数を拾えるようなテクニックを紹介しましょう。
まず、本試験問題を使って実際に解いてみますね。ちなみに残高試算表で各勘定科目の数字を埋める問題の解法テクニックですので、その前提で宜しくお願いします。
前回出題された第131回を考えて見ましょう。
まず一番最初に普通仕訳帳に目を向けます。そして売上・仕入以外の収益・費用(P/L項目)に着目します。4/1は推定ですが、先に答えを言うとこの科目は支払利息です。しかし、推定箇所は後回しスルーでいいです。次に手形売却損、固定資産売却損、給料がP/L項目になります。このうち手形売却損は金額1,200円も判明してすぐに把握出来ます。
また、普通仕訳帳の一部が省略されていると注記がありました。この省略されている部分は必ず確認しないといけません。小口現金に関する項目のようです。別の資料に小口現金出納帳の資料があります。小口現金出納帳は補助簿としては使用していますが、特殊仕訳帳としては使用していないと最初の問題文に書いていました。つまり小口現金に関する仕訳は普通仕訳帳でするしかないのです。その仕訳が普通仕訳帳より省略されていますが、大体推測出来るのではないでしょうか。一部推測な箇所もありますが、P/L項目で旅費交通費12,100円、通信費7,200円、雑費1,400円はすぐに把握出来ます。
次にこれら4つの科目が特殊仕訳帳で記入されていないか調べます。
このの場合、必ず優先順位は普通仕訳帳から特殊仕訳帳です。徹底しましょう。
また、特殊仕訳帳を調べるにあたっては現金(当座預金)出納帳の諸口欄に着目します。その欄以外に売上・仕入以外のP/L項目が記載される事はないと思って大丈夫です。
当座預金出納帳の諸口欄に記載されているP/L項目は有価証券売却益75,000円、給料124,000円の2つです。先の4つの勘定科目には該当しませんね。なのでこの4つの科目は確定です。
この時点で問題用紙に、
手形売却損 1,200
旅費交通費欄¥12,100 通信費欄¥7,200 雑費欄¥1,400
このようにマーカーで塗りつぶしてみましょう。
あの、念のために書きますが、現金(当座預金)出納帳を特殊仕訳帳として使っていなければ、当然普通仕訳帳に記載されているハズですから無視して下さいね。そう、この第131回の問題の小口現金出納帳が該当します。問題ではわざと普通仕訳帳から省略して受験生を釣ろうという魂胆が見え透いてますよね(笑)
次は逆です。つまり特殊仕訳帳から普通仕訳帳のチェックです。この諸口欄に記載されている2つのP/L項目を確定したいのですが、普通仕訳帳には記載されていないか念のために確認です。
ところが給料は何か見覚えあります。そう、先程は金額が不明だったのでスルーにして飛ばしましたが、給料は普通仕訳帳にも記載がされていました。しかも親勘定の当座預金と絡んでいそうです。これは二重に計上されている可能性大で、計算がややこしいので後回しにします。有価証券売却益に関しては普通仕訳帳には記載されていませんでしたから確定させましょう。
有価証券売却益 ¥75,000
塗りつぶして確定させます。
普通仕訳帳→特殊仕訳帳、特殊仕訳帳→普通仕訳帳の往復ビンタでチェックして確定しましょうね。
この時点で5つの勘定科目が確定しました。これらを解答用紙にダイレクトに記載します。
本問の場合、P/L項目は前期末の残高は0円で加減算する手間も無いので電卓不要で埋められます。
2番目に確認するのはマイナーなB/S科目に目を向けます。
繰越商品、固定資産や減価償却累計額、貸付金、借入金、立替金、預り金、資本金など、問題を一読して頻繁に取引してなさそうな科目に注目します。何故なら、動きが少ないほど集計が楽でミスも起こらないからです。
この問題だと、繰越商品や資本金は問題から動きがなさそうです。この問題に限らずどの問題でもこの2つは動きがないのがほとんどです。よく調べると土地や貸倒引当金や借入金も取引がなさそうで動いていません。これはいただきマンモス以外の何物でもありません。そのまま前期末残高を4月末残高に転記してガッツリいただきましょう。
ここまで電卓不要で10個の勘定科目が埋められました。あの、まだ素読みの段階ですからね!問題を解くのはここからだと思って下さい(笑)こんな簡単なものに配点が振られるのかって心配もあると思いますが、問題が難しくて点数が伸びない場合はこれらに配点が来る可能性は十分にあります。また、ある程度解答用紙が埋まっていると精神的に安心感が生まれるのですよ。
さあ、ここから本格的に問題を解き始めましょう。
資産表作成の問題は第3問の総合問題でもそうですが、解きやすい科目の数字を順不同で解答出来るって事です。順番に解く必要は全くないのです。自分だったらまず推定が絡むものは後回しにします。
先程の流れでマイナーな動きの少ないB/S項目から手を付けます。しかも推定不要なものから行きたいです。
やっぱり普通仕訳帳から着目します。例えば建物からいきましょうか。ただ、この問題では簡単ではありません。何故なら相手勘定科目に特殊仕訳帳の親勘定が含まれているからです。この場合は難しいので後回しにします。簡単なものから手を付けるのが正解です。
次に減価償却累計額を見てみましょう。これは相手勘定科目は建物で特殊仕訳帳とは無縁です。普通仕訳帳に記載されている科目で相手勘定科目がノーマルの場合は100%勘定に転記して増減させます。
(注)正確には、相手勘定が特殊仕訳帳の親勘定でも、普通仕訳帳に載ってる科目は100%勘定に転記します。でもその場合は特殊仕訳帳との二重記載で調整に気を遣うし、時間も使うので後回しにしましょう。
次に特殊仕訳帳にも記載されていないか確認します。まあ、こんなマイナーな科目は大抵の場合は動きが少ないのでほとんどこれだけって場合が多いですが、念のため確認します。確認する場合は現金(当座預金)出納帳の諸口欄のみでほぼ大丈夫です。特殊仕訳帳に減価償却累計額はどこにも動きがありませんでした。
これで、解答欄の4月中の取引高の(借)336,160と、4月末残高(貸)360,000は埋められます。
同じような要領で普通仕訳帳のマイナーなB/S科目、従業員立替金、所得税預り金を求めて見ましょう。あ、固定資産売却損は推定なので後回しにしましょうね(笑)
何度でも言いますが、普通仕訳帳に記載されている科目で相手勘定が特殊仕訳帳の親勘定で無い場合はその場で転記して合わせにいきましょう。
従業員立替金、所得税預り金は普通仕訳帳以外の特殊仕訳帳には仕訳がされていませんので、動きはこれだけで簡単に埋まります。※立替金や預り金は他に当座預金などで払っている場合がある。
次に特殊仕訳帳に目を移してマイナーなB/S科目がないか調べて見ましょう。
当座預金出納帳の諸口欄に注目です。建物がありますが、普通仕訳帳のところでも触れましたが二重仕訳問題もあってややこしそうです。飛ばしましょう(笑)
次に売買目的有価証券があります。これは動きが少なそうで美味しいですね。この勘定科目は、普通仕訳帳に記載されていましたか?されていませんでした。されていないって事は少なくても2つの仕訳帳で二重に記載される可能性はゼロです。つまり簡単に解答出来るってことです。この場合の売買目的有価証券200,000円は勘定科目に転記します。相手勘定は当座預金の借方なので、売買目的有価証券の200,000円は貸方ですよ。つまり4月末の最終値は127,000円になります。
最後に小口現金ですが、これも推定になっているので飛ばします。推定箇所は全部飛ばします。
いかがですか?比較的簡単に13箇所も解答欄を埋める事が出来ました。
3番目に目を向けるのは特殊仕訳帳の親勘定です。
つまり、当座預金、仕入、売上、支払手形(貸方)、受取手形(借方)です。比較的簡単に求まります。
但し、この問題の場合は仕入以外は全て推定箇所があるので簡単ではありません。。。
まず簡単な仕入帳に着目しましょう。特殊仕訳帳なので仕訳帳です。転記は当然行います。
転記は行いますがまずは親勘定のみ行うのが早く解答欄を埋める事が出来ます。仕入帳の相手科目である当座預金72,000円、買掛金247,000円、支払手形172,000円も当然各勘定に転記は行いま・・・ああ、相手勘定の当座預金と支払手形(貸)は特殊仕訳帳の親勘定なので転記はしませんね。買掛金247,000円のみでした。それらは置いといて、まずは親勘定の仕入勘定への転記のみ考えます。これは相手勘定の合計額をそのまま転記します。つまり、72,000+247,000+172,000=491,000円です。これをそのまま仕入勘定の借方に転記するだけ。簡単でしょ?
このように特殊仕訳帳の親勘定は相手勘定の合計値をそのまま転記するだけで解答出来ます。
いよいよ他の特殊仕訳帳の親勘定を求めますが、お馴染みの特殊仕訳帳間の二重仕訳について考えます。
さすがにご存じとは思いますが、特殊仕訳帳と特殊仕訳帳で同じ取引が二重に記載されていることを指します。これは回避出来ない問題ですが、逆にこの問題を利用して空白になっているカッコを埋める事が可能です。
・当座(現金)仕入
・当座(現金)売上
・手形仕入
・手形売上
↑↑↑↑↑↑↑↑ 絶対暗記 ↑↑↑↑↑↑↑↑
この4つは二重仕訳の中でも基本中の基本のものなので絶対に覚えて下さい。
この問題ですと、当座預金出納帳の売上欄と仕入欄は不明ですが、上記を知っていれば埋める事が出来るでしょう。つまり仕入帳の当座預金欄と売上帳の当座預金欄からそのまま数字を持ってくればいいのです。同様に支払手形記入帳の仕入欄も不明ですが、仕入帳の支払手形欄より簡単に求まりますよね。ただし、手形売上はこの問題の場合は簡単には求まりません(どちらの特殊仕訳帳も空白)ので後回しにします。
でも、当座預金出納帳の借方合計と支払手形記入帳の合計は求める事が出来ますよね。
それぞれ計算すると、当座預金(借)1,137,800円、支払手形(貸)360,000円です。当座預金は貸方の小口現金の欄が不明なので最終値はまだ求まりませんが、解答にはもう一息のところまでになりました。支払手形も借方の金額の集計がまだですから最終値まで求まりませんが、大分前進しました。
ここまではテクニックのみで求めてきましたが、この先はあなたの知識とセンスに掛かっています。
でも多分闇雲に解き始めるより、ここまでの解答で全体像がおぼろげながら見えてきたので閃きやすいはずです。何と言ってもそこそこ解答欄を埋めた安心感もあります。
ここから先の解答はパズルを解くようなもので、色々な解法があるのであえて細かく触れません。
でも例えば、普通仕訳帳の4/1の仕訳なんかは経過勘定項目の振替仕訳なんだろうな・・・と閃けば相手勘定が支払利息で、金額も未払利息の前期末残高の2,500円だと気付くと思います。普通仕訳帳の支払利息が分かれば相手勘定が親勘定でないですから100%転記ですよね。特殊仕訳帳にも支払利息の記載はないのでそのまま求まります。
小口現金出納帳の消耗品費が空欄でしたが、解答欄の4月中の取引高を見れば26,500円と出ています。これは気付くかどうかのセンスの問題ですが、気付けば普通仕訳帳に省略された仕訳も見えてきませんか?消耗品費は5,800円なんだろうなと解答出来ると思います。また、全体の仕訳が分かれば先程の当座預金出納帳の貸方合計も求まります。定額資金前渡制度で使った分を小切手で補充しているのだから、諸口欄の小口現金は26,500円と判明しますからね。
もっと頑張ると、先程の支払手形の貸方は求まったけど借方は求まるかな~。と思って各帳簿の借方だけよく調べたら当座預金出納帳の諸口欄にそのまま載ってるじゃないか。これで支払手形の最終値も求まります。売掛金や買掛金の集計も大変そうなので後回しにしたけど、よく見たら推定箇所はなくて単純に電卓叩くだけ。意外と簡単でした。
本問の場合、ここまでは頑張って埋めて欲しいと思います。
一部当座取引の二重仕訳の知識を持っていれば給料の額も簡単に求まります。
建物の仕訳も同様に求められるのでドンドン解答欄が埋まります。このように一部当座取引について普通仕訳帳に全体記帳している場合は少し難易度が高いので、場合によっては無視してその他を合わせにいっても戦略上は良いと思います。でも特殊仕訳帳間の二重取引については知識として持っていないと合格点は取れないと思います。
この問題で一番難しいと思われるのが、売上と受取手形を求める数字だと思います。
これは二重仕訳金額控除より逆算しないと解けないので無視しても良いとは思います。
最後にまとめます。
解いた時間に比例して点数を伸ばすなら下記の順を参考にしてみて下さい。
1.普通仕訳帳に記載された売上・仕入以外のP/L項目から合わせに行く。但し、二重仕訳、推定箇所は後回し。
2.次に特殊仕訳帳に記載されたP/L項目を合わせに行く。現金(当座)預金出納帳の諸口欄に注目!
3.動きの全くないB/S科目の数字を合わせに行く。
4.動きの少なそうなB/S科目の数字を合わせに行く。
5.特殊仕訳帳の親勘定の合計値を算出する。特殊仕訳帳間の二重仕訳は完璧に覚える事。
6.特殊仕訳帳の特別欄の勘定科目などで、集計可能なものを合わせに行く。
7.後回しにした推定箇所で解けそうなものから手を付ける。
8.一部当座取引など二重仕訳に関わる部分を推定して該当科目を合わせに行く。
こんな感じではないでしょうか。
日商簿記2級の戦略として第2問を一番最後に解く人は多いと思います。
是非とも参考にしていただいて良い吉報をお待ちしてますね。
今回は下記を出題予想します。(*-∀-)ゞ
第1問 ・・・ ガチ仕訳問題
第2問 ・・・ 特殊仕訳帳からの試算表作成
第3問 ・・・ P/L作成問題
第4問 ・・・ 材料費の仕訳と勘定記入
第5問 ・・・ 標準原価計算
次のページで細かく分析と捕捉をしたいと思います。
]]> まず、第1問ですが仕訳問題は99%以上の確率で間違いないでしょう。次に第2問ですが、正直何が出題されるか分かりません。やはり前々回の特殊商品販売の問題もそうですが、少し傾向を変えようとしている変革期なのかもしれません。ただ、過去問を分析して常識的に考えるならば特殊仕訳帳を絡めた残高試算表の作成問題が濃厚です。第2問は伝票会計と並んで特殊仕訳帳を絡めた出題が多いのですが、伝票会計は前回出題されているので可能性は薄いと思います。
第3問はP/L作成問題を予想します。精算表作成問題と悩みましたが、何となくP/L作成問題が出そうな気がします。まれにP/LとB/Sの同時作成問題も出題されていますが、最近の傾向はP/Lの作成のみが多いです。しかしながら、精算表もP/Lもやることは一緒なのでどちらが出題されても合格出来る力のある人は対応出来るハズです。基本は総合問題で決算処理がメインです。重要論点は銀行勘定調整表、売上原価の計算(棚卸減耗費等の計算)、有価証券の評価、固定資産の減価償却、社債(発行する立場)、貸倒引当金、費用の見越し繰り延べが非常によく出題されています。もう一度サラッとチェックしてもいいのではないでしょうか。
なお、個人的に本支店会計はノーマークでいいかなと思います。もちろん続けて嫌がらせのように出題する可能性も否定は出来ませんが、前回はまさかの本支店会計と本社工場会計のダブル出題で世間を驚かせたので、もし万が一本支店会計がまた出題されるような事があれば、あいたたた・・・痛いなぁと言わざるを得ません(笑)ステーキも毎日食えば美味しいと思わなくなります。なので、前回のサプライズで受けた高い評価も帳消しになるような愚かな行為はさすがにしてこないでしょう。
第4問工業簿記に移ります。今回は材料費の計算を予想します。
前回は工業簿記は全くかすりもしなかったので気合を入れて予想します。いや、予想も何もこれしかないやろってくらい自信満々なのです。恐らく丁寧に過去問を分析すれば費目別計算が濃厚なのは必然です。実際に予想されている専門学校や有識者は多いと思っています。その中でも材料費に着目しています。特に第98回で出題されたような材料内部副費を含めてガッツリ材料費みたいな出題を期待しています。材料内部副費は第98回以降は出題されていない気がします。ですから処理を知らないと全く対応出来ません。
もしかすると日本商工会議所としては、第98回は触れられたくない黒歴史なので永遠に出題しない可能性もありますが、論点としてはまた出して欲しいなぁと思うくらい重要性はあると思っています。まあ、仮に出題されたとしても、林が当てたから漏洩してたとは誰も騒がないので安心して出題して下さい(笑)
こちらは対策講座がありますので軽く目を通しても良いでしょう。
http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/134.html
第5問は標準原価計算を予想します。
根拠は特にありませんが、順番的にはかなり濃厚な項目になりました。個人的には総合原価計算よりも遙かに出題可能性があると思っています。シングルプランとパーシャルプランの違いを問う可能性もありますが、個人的には標準原価計算と言えば差異分析だと思います。特に曖昧な丸暗記で覚えていると本試験ではボロボロになる論点なので是非とも対策が必要でしょう。
こちらも対策講座を用意していますので軽く目を通しても良いでしょう。
前編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/post-12.html
中編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/134-1.html
後編:http://www.mezase-bokizeirishi.jp/mt/boki/2013/06/134-2.html
このように製造間接費は、直接材料費や直接労務費以外の雑多なものが全て詰まったカオスな勘定科目と言えます。このような科目ですから標準単価や標準消費量を科学的、統計的な側面から分析するにしてもなかなか無理があるのが本当のところです。
それではいよいよ最後になりますので宜しくお願いします。
]]> このような特殊な製造間接費は、一定期間の予算を設定して標準配賦率を決定する流れになります。一定期間というのは大抵は1年間で、これ位の製造間接費を1年間で使うだろうと予想されるものを設定します。これによって季節的変動や色々な理由によって短期的に変動するようなものを、1年間で平準化することにより合理的な予算と標準配賦率が決定出来るんだよね。そこでもう一度問題を再掲するよ。
【問題】下記資料に基づいて標準原価計算を採用した場合の、直接材料費の価格差異と数量差異、直接労務費の賃率差異と作業時間差異、公式法変動予算を使った製造間接費の予算差異、能率差異、操業度差異を求めなさい。
-あ、問題文には製造間接費の年間予算額が資料として与えられていますね。
うん、製造間接費の資料は必ず予算データが与えられる。しかし、原価計算は1ヶ月単位だから月間ベースに修正する必要がある。これは一番最初にチェックして欲しい項目だ。これを間違うと悲惨なんだ。
製造間接費月間予算額 ・・・ ¥12,000,000 ÷ 12ヶ月 = ¥1,000,000
大丈夫かな?次に製品1単位あたりの標準配賦率を求めてみよう。
もしかしたら嗅覚の鋭い方は感覚で「基準操業度」で割って求めるのかなと思われた方も多いと思う。
-基準操業度って何ですか?
例えば製造間接費予算ってのは、年間で必勝合格ダルマを仮に1,000個作るぞって決めた時の製造間接費がこれ位かかりますよって金額で表現したものなんだ。ダルマを製造する数によってはラインを増やしたり機械を買い換えたりしなきゃならない。つまり予算ってのは最初に決めるものなんだ。
基準操業度は、そのダルマ1,000個作るのに達成出来る操業度の事をいうよ。通常は直接作業時間や機械運転時間が使われる場合が多いんだけどやや苦労して決めた感はある。それはカオスな内容の製造間接費を同じ配賦基準で統一するのは難しいんだ。例えば工場の減価償却費なんてのは直接作業時間や機械運転時間に比例して発生するかというとしないよね。何もしなくても発生するもんね。材料の棚卸減耗費だってそうじゃないか。直接作業時間や機械運転時間と因果関係あるかい?
だから厳密にいうと妥協した配賦基準であると言えるんじゃないかな。
あまり深く考えないで、その中でも一番合理的なものが使われているなって自分を納得出来ればOKとしよう。
問題文では基準操業度も年間操業度が与えられているので月間ベースに直すよ。
基準操業度 ・・・ 24,000直接作業時間 ÷ 12ヶ月 = 2,000直接作業時間
これは製造間接費の差異分析の問題を解く前に一番最初にやることだと覚えよう!
そうすると製造間接費の標準配賦率が求まるよ。
製造間接費標準配賦率 ・・・ ¥1,000,000 ÷ 2,000時間 = 500円
実は配賦率は分母と分子が年間ベースで同じなら月間ベースに変換しなくても出せるけど、今後のことを考えて最初に変換して求める方がお勧めです。この500円は既に原価標準カードの製造間接費に表示されているから求める必要はないけど、仮に原価標準カードが虫食いになって出題されていても埋められると言うことなんですよ(笑)
さて、予算には日商2級で出題される予算には固定予算と公式法変動予算の2種類があるんだけど、簡単に触れておこうか。
固定予算はその名の通りで、操業度に関係なく一定の予算とする方法。
この場合、予定生産量が達成されたときは実際操業度も基準操業度に近くなるので合理的なんだけど、達成出来なかった時は・・・あまり意味なさげって思わない?
次に公式法変動予算は、変動費と固定費に分ける特徴があるよ。例えば工場の減価償却費は操業度に関係なく発生するだろ?だからそういったものを加味して種々の操業度に対応出来るような予算を求めるんだ。上図の赤い線が公式法変動予算と呼ばれているよ。
まあ、雑学的な知識はこれくらいにして、我々がやるのはあくまで標準原価と実際原価の差異分析だ。
もし、2級で標準原価計算が出題されればほぼ間違いなく公式法変動予算が前提になってくると思う。だからここでは固定予算は思い切って無視しよう。つまり、この公式法変動予算を用いて差異分析を行うやり方をマスターしてもらうよ。
それでは、例の問題文を製造間接費の差異分析を求めるのに必要な部分を抽出しようか。
まず、製造間接費に関する資料を抜き出して、年間部分を月間に変換してみた。
これは一番最初に必ずやること。資料も見やすくなったね。
復習だけど、製造間接費の標準原価はどうやって求めた?
標準原価カードを使用して1個あたり1,000円だから798個分で798,000円だったよね。
でも差異分析をするためには配賦基準の単位に変換して行うから・・・
500円×(798個×2時間) = 500円(標準単価)×1,596時間(標準時間)
=798,000円(標準原価)
つまり、公式法変動予算のグラフで表すと次のようになるんだね。
-あれ?これだと固定費も操業度に応じて比例的に計算するんだね。
そうだよ。結局標準原価計算は製品1単位あたりの標準原価を決めてそれを生産量に乗じて原価を決めるから、変動費とか固定費とか関係なく比例的に計算されるものなんだ。変動費とか固定費はあくまで予算の話だからあまり深く考えなくていいよ。
標準原価の¥798,000は青いラインになります。
ちなみに変動費率は変動予算÷基準操業度、固定費率は固定予算÷基準操業度で求めるよ。
製造間接費の実際発生額は¥980,000でした。これは当月投入798個分の生産量に対する実際操業度における実際発生額だ。図で表すとオレンジの部分になります。この青とオレンジの差異は総差異になっていて、具体的にはその差異を細かく分析するのが僕らがこれからやること。大丈夫かな?
新しい記号も出てきたので次の頭文字で覚えてね。最近はひじきで覚える人が多くなってるみたいだけど、自分に覚えやすい方法で覚えてね。自分はアルファベットで覚えたからこのブログでも統一するよ。
また、必ずこの順番で覚えてね。S→A→B・・・何だか成績の評価みたいだね。
標準 ・・・ Standard
実際 ・・・ Actual
基準 ・・・ Base
ここで製造間接費の標準配賦率をまとめるよ。
標準配賦率 = 製造間接費予算額 ÷ 基準操業度
標準配賦率 = 変動費率 + 固定費率 でも表現出来るね。
・変動費率 = 変動費予算額 ÷ 基準操業度
・固定費率 = 固定費予算額 ÷ 基準操業度
これを問題文の数値にあてはめてみようか。
標準配賦率 = ¥1,000,000 ÷ 2,000時間 = 500円
標準配賦率 = (注1)200円 + (注2)300円 = 500円
(注1)変動費率 = ¥4,000,000 ÷ 2,000時間 = 200円
(注2)固定費率 = ¥6,000,000 ÷ 2,000時間 = 300円
大丈夫かな?下ごしらえはこれ位にしていよいよ差異分析を行っていくよ。
まずは(1)予算差異だ。予算の話を散々してたから予算の分析を行わないと失礼な話だろう(笑)
予算差異は製造間接費の実際発生額と予算額との差額なんだけど、公式法変動予算は種々の操業度に応じて予算額が設定出来るように決めたって言ったよね?だから予算ってのは実際操業度における予算を言うんだ。
そのための公式法変動予算なんだよ。基準操業度における予算額は標準配賦率を決めるための資料だ。
それでは公式法変動予算の図を用いてもう一度実際操業度の予算額を算出してみよう。
すると実際操業度1,650時間に対する予算額が公式法変動予算により求まる。930,000円だ。
差異分析はこの予算額と実際額との差額なんだ。感覚的に予算をオーバーしてたら良くないイメージを抱かないか?そう、不利差異になる。予算より少ない発生額だと逆に有利差異だよね。
上図のオレンジの部分が実際操業度の予算額をオーバーした部分(不利差異)。このグラフの右斜め上に伸びている直線は公式法変動予算の予算許容額と呼ばれている。つまり予算線なんだなぁくらいには認識しておこう。実際額がこの予算線を下回っていたら有利差異になるよ。
次は、(2)能率差異を調べよう。
能率差異ってなんだ??って思うのだけど、例えば生産データから換算量ベースで798個分の投入がされたって事は分かるよね。798個作ろうと思えば配賦基準は直接作業時間だから、1,596時間が標準作業時間になるよね。でも実際には1,650時間も掛かったんだよね。あれっ?ってならないか?君が現場監督なら何で1,650時間も掛かってんの?1,596時間で出来たハズだろうが!!ってね。つまり54時間も予定よりオーバーしちゃったんだ。きっとドジっ子が居たのかな?(笑)
実際には換算量で798個しかダルマを作らなかったけど、作業時間が予定よりもオーバーした事による差異になるんだね。図でいうと青い線の①と②の差額が能率差異部分になるよ。
-でも最初に製造間接費はカオスな物が沢山混じっているから意味なくねって言ってませんでした?
そうだね。変動費もあれば固定費も含まれている製造間接費の発生が、直接作業時間と比例関係にあるのかって言われると怪しいわな。でもな、そこは深く首を突っ込む必要はない。イメージで自分を納得させて先に進もう。イメージ的にはドジっ子のお陰で効率が悪くなって作業時間が掛かった(原価が掛かった)って覚えた方が記憶に残るだろ?
※研究 ・・・ 変動費能率差異と固定費能率差異
能率差異を変動費部分と固定費部分に分けて解答させる場合があります。
次のように求めるだけなので参考にして下さい。
変動費能率差異 ・・・ (1,596h - 1,650h) × @200 = ¥10,800(不利差異)
固定費能率差異 ・・・ (1,596h - 1,650h) × @300 = ¥16,200(不利差異)
さあ、最後に(3)操業度差異を調べてビシッと締めよう。
今までの話を聞いて、最初に合格必勝ダルマ1,000個作るために予算を決めたんだったよね。でも実際には当月投入量は840個(796個)だったわけだ。これこそが何らかの分析を行う必要があると思わないかい?
-でも、直接材料費や直接労務費の差異分析では気にしませんでしたよね?
いいところに気がついたね。気にしなかったのは気にする必要がなかったからなんだ。どうしてかって?それは直接材料費や直接労務費は生産量に応じて比例的に発生する性質の原価要素だろ?だからダルマの生産量が少なかったからと言って原価にムダが出るかって言われるとそうでもないよね。生産量が少なければ原価も少なくなっているはずだもん。
でも製造間接費には固定費が含まれている。しかも結構な割合で・・・
最初にダルマ1,000個作るために機械を買ってラインを増やして凄い投資をしたのに結局あまり使わなかったら凄くもったいないことしていると思わないかい?結局その投資額は減価償却って費用で製品原価に跳ねかえてくるんだ。沢山作れなかったら1個あたりの原価は必然的に高くなるだろ?
-そうか、操業度差異は言い換えると固定費を有効に使い切れているかってことっすか?
そんなイメージでOKだね。早速図解で確認してみようじゃないか。
このピンクの部分が使い切れなかった固定費部分だね。これを操業度差異と呼んでいる。
計画した基準操業度の固定費¥600,000が有効に活用されていなかったってイメージ出来ればOKです。カラオケを3時間借りて2時間しか使わなかったら損したなーって思うだろ?そんなイメージだよ。
さあ時間が無い、最後まとめるぞ!!
今までの製造間接費の差異分析を全部まとめたのが下の図だ。
ようやく出てきたシュラッター図!!これを丸暗記するのもいいけど、それぞれの意味は知っておいた方がいいだろう。標準原価計算と言えばシュラッター図とばかりに製造間接費の差異分析なんて問われていないのにシュラッター図を書き出したりとか痛いことやってる人もいるからね。
何度も言うけどS→A→Bの順番は数字の大小に関係なく固定でお願いします。
SよりAの方が小さければ能率差異は有利差異になりますし、AよりBの方が小さければ操業度差異は有利差異になります。
だからまず問題をみて何を問われているか確認して欲しい。直接材料費の差異分析なのか、直接労務費の差異分析なのか、製造間接費の差異分析なのか・・・単純に総差異だけを求めるんだったらこんな図は書かなくても求まるし、色々な解き方を考えてみて欲しい。思い込みで解くのだけはやめようぜ!
3回に渡って標準原価計算を書いたけど、かなりのボリュームになってしまった。これは少し反省すべき点もあるけど、皆様の合格を心より祈っています。最後までお付き合い下さいましてありがとうございました。
-はやしさん、もう明日の試験に備えてみんな寝てます。もっと早く公開しないと・・・(´ω`;)
なんだ、ドジっ子差異とでも言いたいのか?ホットケーキだ!!
でもな、これを読んだ読者は必ず合格必勝ダルマの効果があると思うぜ。99.99%の状態で置いているから皆さんの手でダルマに目を入れに来て欲しいね。それではまた会う日までサヨウナラ!!
【問題】下記資料に基づいて標準原価計算を採用した場合の、直接材料費の価格差異と数量差異、直接労務費の賃率差異と作業時間差異、公式法変動予算を使った製造間接費の予算差異、能率差異、操業度差異を求めなさい。
もう解けた人もいるかも知れませんが、復習の意味を込めてお付き合い下さい。
]]> 前回は直接材料費、直接労務費、製造間接費の費目別に総差異を求めました。まずは直接材料費から順番にみていきましょう。
標準原価カードに着目して下さい。直接材料費は標準直接材料費となっています。
その内容は@110円×10kgとなっているよね。
この110円を標準単価、10kgを標準消費量と呼びます。
何が言いたいのかというと、直接材料費差異を価格面と消費量面で差異を分析するのです。
-どうして価格と消費量に分けて分析することに意義があるの?
それはね、例えば家族3人分の玉子焼きを作るとしようじゃないか。標準(目安だね)の玉子の価格は1個20円とするよ。1人分の玉子焼きを作るのに玉子2個必要だ。この玉子2個は標準消費量としよう。すると標準材料費は計算出来るかな?
@20円 × 2個 × 3人分 = 120円
そして君は玉子調達係で、スーパーのチラシを見て玉子1個15円で買える店を発見したんだ。喜んでいっぱい買ってきた。大手柄だよな?お母さんは料理係だ。嬉しさの余り、勢い余って玉子をいっぱい落としちゃった。でも安く買えたんだから気にしない気にしない。結局、作ってみれば3人分作るのに10個の玉子を使ってしまった。実際材料費はどう計算するかな?
@15円 × 10個 = 150円
総額を比較すれば、標準原価120円-実際原価150円=30円の不利差異になるよね。
お父さんが帰ってきて、30円多く原価が掛かったのを聞いて血相を変えて二人を怒鳴りつけます。
「お前たち一体何をやっとるんだ!!!」
お母さんは舌をペロッと出して笑っているけど、君は納得出来るかい?普通は1個20円する玉子を15円で買ってきたんだよ。普通は褒められるんじゃないのか?それをお母さんと一緒に怒られた日にはふざけんなよ!!ってならないか?これはお父さんが総額だけで不利差異になっていると判断したからこそ起きた悲劇なんだ。
そうならないためにも、細かく分析した方がいいような気がしないかい?
結論から言うと、直接材料費を価格面と消費面に分けてムダを分析するのさ。
標準直接材料費の計算は、@20円×2個×3人分=120円で計算したよね。材料の価格面の単位は円でいいけど、消費面の方は材料の数量単位に統一しよう。この場合だと1食分の玉子の標準消費量は2個×3人分で6個になる。つまり標準直接材料費の計算は、@20円×6個=120円と置き換えることが出来るんだ。
この図は、直接材料費の差異分析をする時に使うボックスなんだ。悪いけど、これは丸暗記をして貰うよ。覚え方としては最初に四角の箱を書いて、中に勘定・・・そう、T字を書けばそれでOKです。
次に図のようにSとAを記入します。このSとAは標準と実際のスペルの頭文字を取ったものです。
標準 ・・・ Standard
実際 ・・・ Actual
別に英文字じゃなくて平仮名でも片仮名でもなんでもよいです。自分の覚えやすい記号で書けばいいでしょう。ただし、必ず標準は内側に書くクセをつけておきましょう。
縦軸の単位は価格の円、横軸の単位は消費量の個です。玉子焼きの例だと、標準単価が20円で製品1単位(家族1食分)の玉子の標準消費量は6個でした。つまり標準材料費は120円でしたよね。図にすると分かりやすいよね。次は実際材料費の計算だよ。実際の玉子の価格は15円で買ってきたんだよね?だから縦軸のAの部分は15円になります。次に実際の消費量は?いくつか玉子を割ってしまったから10個必要になりました。つまり実際原価は大きい四角形の面積に相当する150円です。
S120円 - A150円 = 30円(不利差異) ・・・ 材料費差異
ここまでは前回の復習。標準から実際を差し引いて計算するのでした。マイナスになれば不利差異、つまり借方差異です。つまり総差異は小さい四角形から大きな四角形を差し引いて計算したんだ。さあ、いよいよ本題です。次にこの30円の不利差異を価格面と消費面に分けて分析するよ。
この図をみて理解して欲しい。まずは価格差異だけど、緑色の部分を計算する。その際も必ず標準から実際を引いて計算すること。今回は初めてプラスになりました。これは有利差異と言って標準(目安)以上のパフォーマンスを発揮したってことだね。ガッツポーズするんだよ(笑)ちなみに縦軸は20円が15円より下になっているけどそれは無視して下さい。必ずSが内側でAが外側、これは絶対に守るようにお願いします。
次に数量差異を計算しましょう。標準は6個だけど実際には10個で作ったから玉子4個をムダにしたことになる。つまり80円の不利差異なんだよね。結論から言うと、価格面では褒めてもいいけど数量面では改善の必要性がありそうだ。お父さんがこの表の作り方をしっていれば、あんな怒られ方をしなくて済んだのに・・・嗚呼。
-あのさ、標準単価ってあったよね?あれって材料費のところでやった予定単価とは違うの?
お、冴えてるね。イメージ的には標準単価も予定単価も同じと考えていいよ。あんまり細かい事は気にしないことだ。ただ、材料費の予定単価の時は倉庫からの出庫量は実数で計算していたよね?標準を予定と同じイメージで考えるなら、標準原価計算は出庫量も予定で計算しているイメージになるね。
それでは宿題の問題を使って直接材料費の差異分析を行ってみよう。
何か問題文を読むと資料の多さに頭が痛くなりそうだけど、直接材料費の差異分析だけに着目して資料を簡素化すると解きやすいよ。やってみようか。下の図を参照にしてね。
標準原価カードのうち、直接材料費の資料。そして当月投入の840個、あとは実際原価のデータがあれば解けるよ。直接材料費は単価に消費量を掛けて求めるから、実際原価データより実際消費量は求まるよね?
実際消費量 = ¥1,108,800 ÷ 実際単価120円 = 9,240kg
次に標準消費量は分かるかな?材料費の差異分析では材料の消費数量(kg)に統一するんだったよね。
製品1個あたりの消費量は10kgだから、
標準消費量 = 当月投入量840個 × 10kg = 8,400kg
ここまで求まれば先程のボックスを使って差異分析が出来るよ。
いかがかな。これが解答だけど、思ったより難しくないと思う。
次に直接労務費差異の分析を行ってみよう。実は直接材料費と考え方は全く同じだ。多分、直接材料費の分析が解答出来た人ならば感覚で解けると思う。直接労務費の場合の価格面は賃率を使用するし、消費面については直接作業時間に置き換えてボックスを作ればいい。
まずは資料を簡素化してみよう。
今度は直接労務費の差異分析に必要な部分のみを取り出します。気を付けて欲しいのは直接材料費と違って加工進捗度を加味した当月投入量である798個分で計算することだ。
具体的には価格面である賃率のSとA、消費面である直接作業時間のSとAが求まればOK。
Aは両方答えが載ってるから消費面のSを求めてみようか。
製品1個あたりの標準作業時間が2時間だから
標準直接作業時間 = 当月投入量798個 × 2時間 = 1,596時間
ここまで求まれば後はボックスに数字を埋めて計算するだけの簡単なお仕事だ(笑)
何度も繰り返すけど、ボックスの書き方は完璧にマスターして欲しい。最初に四角の中にTの字を書くってこと。次にSが内側でAが外側のルールを絶対に守ること。そして最後に縦軸は価格面で横軸は消費面の単位に揃えることだ。差異分析の計算は必ずSからAを差し引いて計算すること。マイナスならば当然不利差異になる。
本当はもう少し丁寧にやりたかったけど、時間が無いので駆け足になりました。(TдT) ゴメンヨー
直接材料費と直接労務費の差異分析についてはそれほど難しい項目ではありません。必要なデータを抽出してボックス図か描ければ間違うことはないでしょう。しっかり見直して本試験に備えて下さい。
次回はいよいよ最後の鬼門!!
製造間接費の差異分析になります。こちらは超重要項目なのでしっかりマスターして欲しいです。特に公式法変動予算を用いた差異分析は、標準原価計算が出題されればほぼ問われる論点です。頑張りましょう!!
でも最低限の事は知っていないと合格点は取れないので、今回は一夜漬けである程度最低ラインまでは押さえて本番に挑めるように頑張ってみるよ!
日商簿記2級の標準原価計算と言えばシュラッター図なんかイメージすると思うけど、まずは大枠の概要を知って欲しいので枝葉の前に幹から丁寧に解説するよ。
]]> まずは標準原価計算の目的から。目的は色々あるけど結論から言うと覚えなくていい(笑)どうしても知りたいって言うんだったら、とりあえずムダを無くすための分析・改善をやるんだってこと。これが一番の目的なんだ。ムダを無くすって事は目標みたいなものが用意されているんだ。
上図は標準原価カードって言うんだ。これは何かっていうと製品を1単位(まあ大抵は1個)作るのに目標とされている原価だ。製品1単位作るのに2,800円で作れまっせみたいな。標準原価計算の問題には必ず資料として与えられるよ。上から直接材料費が1,100円、直接労務費が700円、そして製造間接費が1,000円掛かると書かれているんだね。この合計2,800円の事を原価標準と言ったりするよ。
-標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費の標準ってどういう意味?
標準っていうのは目標であり目安でもあるんだよね。例えばフルマラソンを走るにしても、自己記録や世界記録とかなんでもいいけどこれ位で走りたいなぁみたいな目標とか決めない?上記の原価標準についても適当に決めている訳ではなくて、色々調査・分析した結果2,800円で製品1単位作れるよねっていう目安なんだ。目安が無いと比較が出来ないでしょ?結果的に無駄遣いしていたのか分析のしようがないよね。
とにかく上記の標準原価カードを前提に問題を解いてみよう。
おなじみの生産データが出てきました。まずは簡単に月初・月末なしで考えましょう。
生産単位は1個とします。さて、完成品の当月製品製造原価はいくらでしょう?
原価標準¥2,800 × 完成品10個 = ¥28,000 ・・・ 当月製品製造原価
なんと一瞬で当月製品製造(完成品)原価が求まりました。標準原価計算に慣れると実際原価計算みたいなものをよくやってるなと思います(笑)
さて、月末に実際原価が次のように判明したとしましょう。
1.直接材料費 ・・・ ¥13,200
2.直接労務費 ・・・ ¥ 7,560
3.製造間接費 ・・・ ¥11,820
合計は¥32,580である。
実際原価は¥32,580ですよね。これってどの部分の標準原価と比較すると思いますか?
上図のピンクの部分に注目して下さい。実際原価データはピンクの部分の実際原価です。ですから当月投入量に対する標準原価を算出して差異を分析するのです。ここはポイントですから必ず押さえて下さいね。今回は月初と月末がありませんでしたので、たまたま完成品の標準原価と一緒になります。
-どうしてピンクの部分で標準原価と実際原価の差額を求めて分析するのかピンときません。完成品の標準原価と比較したらおかしいの?
うん、仮に黄金のダルマを10個製造したとする。これの完成品の標準原価は@2,800円×10個=¥28,000としようか。それで先月に着手したんだけど、99.99%出来たところで当月に繰り越されてきたとする。つまり先月は完成品0個だったんだ。あとはダルマに目を入れるだけの簡単なお仕事のみだったのにね。材料は始点で100%投入されてるから当月は材料費掛からないだろ?しかもダルマに目を入れるだけだから墨汁と筆・・・補助材料費だから製造間接費が少し掛かるか。あとは君の直接労務費くらいかな。標準原価カードをよく見ると時給で350円とかあり得ない金額だけど(笑)、これはとりあえず気にしないで計算しよう。すると精々1時間作業ってとこだから350円位のコストは掛かるかな。
んで、今月の実際原価は1,000円も掛からなかった。果たしてこれと比較する標準原価は完成品の標準原価28,000円でいいと思うかい?明らかにおかしいよな(笑)だから問題で与えられる実際原価の金額はピンクの部分なんだよ。
標準原価¥28,000 - 実際原価¥32,580 = ▲4,580(不利差異)
この4,580円は標準原価総差異になります。この内訳をもっと細かく分析するのが目的です。
目標としていた標準原価より実際には多く掛かりましたので不利差異(借方差異)になります。それではもう少し本格的な生産データを使って試験チックな問題に変えてみましょう。
うおおお!!さっきの生産データに比べると格段と本格的になったね。まるで試験問題だな。生産データのカッコ内の数字は加工進捗度なのは大丈夫かな?つまり加工費で使うデータだったよね。そこでもう一度復習しようか。始点で投入される直接材料費は一度投入されたら完成まで増減はない。始点の時点で100%だからね。でも加工費(直接材料費以外)は違ったよね。加工の進捗具合によって原価が比例的に増えていった。だから加工進捗度を反映した数字を使うんだったよね。大丈夫かな?
例えば完成品は780個だけど、これは加工進捗度が100%だから加工費も780個分で標準原価を計算する。上記の標準原価カードを使って計算すると2,800円×780個だから¥2,184,000が完成品標準原価になるよね。
-でも実際原価と比較して差異分析を行うのはピンクの部分ってことか・・・
そうなんだ。直接材料費は始点投入だから純粋な当月投入量840個で問題無いよね。でも直接材料費以外は加工に応じてコストが発生するから加工進捗度を加味して計算しないといけないんだ。そうすると実際に投入したのは840個分の製品なんだけど、理論上は798個分の加工をしたのと同じことになるんだ。さっきのダルマだと10個×0.01%だから0.001個分の加工費の計算になるよね。
じゃあ実際に当月投入量840個(798個)の標準原価を計算してみようか。
標準原価カードを参照して次のように計算するよ。
直接材料費:@110円 × 10kg × 840個 = ¥924,000
直接労務費:@350円 × 2時間 × 798個 = ¥558,600
製造間接費:@500円 × 2時間 × 798個 = ¥798,000
標準原価:¥924,000+¥558,600+¥798,000=¥2,280,600
あっさり求まってビビッたんじゃないかな(笑)
これに実際原価は¥2,682,800と与えられているから・・・
標準(目標)原価から実際原価を差し引くと▲402,200円の不利(借方)差異だって判明したね。簡単だろ?
そうそう、一つ言い忘れてた。さっきから標準原価から実際原価を差し引いてるよね。これは習慣づけて欲しいな。標準原価って世界記録ってイメージして欲しいんだ。世界記録って簡単には破られないでしょ?だから意義があってみんな燃えるんだよ。そして大抵は不利差異のマイナスになる。あーあ、ガッカリみたいな。だからプラス(有利差異)になったらガッツポーズしていい。試験中でもガッツポーズするんだぞ!世界記録が破られるって滅多にないんだぞ。くどいけど不利差異は借方差異、有利差異は貸方差異だからセットで覚えてね!
さあ、話を元に戻そう。さっき計算した原価差異は標準原価総差異なんだけど、本試験でもたまに標準原価総差異を解答させる時もある。その時は真っ先に解答しよう。簡単に出せるからボーナス問題なんだ。
まあ、大抵はもっと細かく差異分析をするんだ。つまりこの¥402,200をもっと細かく分析して解答するってこと。前置きが長くなったけど、いよいよ本格的な差異分析を実際に計算してみよう。
さあ、実際にこの問題を解くことにしよう。先程の問題と比べて資料が更に発展している。
実際原価データが直接材料費、直接労務費、製造間接費それぞれ与えられていますよね。つまり、各々の差異分析を求めることが出来るんですよってことです。本試験でもそのような出題がされます。
【問題】上記資料に基づいて標準原価計算を採用した場合の、直接材料費の価格差異と数量差異、直接労務費の賃率差異と作業時間差異、公式法変動予算を使った製造間接費の予算差異、能率差異、操業度差異を求めなさい。
この解答と解答方法は次回に続きます。
が・・・ここで問題には求められていないけど、直接材料費の総差異、直接労務費の総差異、製造間接費の総差異、標準原価総差異が求められるから解答してみてくれるかい?
ヒント:標準原価 - 実際原価 = 原価差異(マイナスなら不利差異、つまり借方差異)
解答:
直接材料費差異 ¥924,000-¥1,108,800=¥184,800(借方差異)
直接労務費差異 ¥558,600-¥594,000=¥35,400(借方差異)
製造間接費差異 ¥798,000-¥980,000=¥182,000(借方差異)
標準原価総差異 ¥2,280,600-¥2,682,800=¥402,200(借方差異)・・・再掲
結論は総差異は簡単に求められるよ。それでは今度こそ次回に続きます。
材料費って何だ?って言われると実は説明に苦しむのですが、指導者になる訳でもないなら、深く考えずに製品を作る上で主な素材なんやろなー程度で自分に酔いしれるくらいじゃないと工業簿記・原価計算の勉強は続けていけません。工業簿記をマスターするコツはあまり深く考えないこと。工業簿記って暗いイメージあるでしょ?まるで地下ダンジョンを探検しているようなイメージ。なんか奥に怪しい抜け穴があるぞって思っても首突っ込んじゃダメです。特に2級合格を最重要課題としている皆様は、そんなところに首を突っ込まなくても全然合格は出来るので無視することが大切です。
それでは具体的に必要最小限の重要論点のみ学びましょう。
]]> 材料費には直接材料費と間接材料費とに分かれます。直接材料費はイメージ出来ると思いますが、製品を作るのに主要な材料・・・そのまんまです。材料と言うよりは素材と言った方がイメージ出来ると思います。車作るなら鉄とか家具を作るなら木材とかそんなイメージでオッケー。その他に外部から調達する買入部品ってのもあります。例えば車ならハイブリッドシステムとかエアバッグとかですね。全部が全部自社で製造していないケースもあるのです。これも主要な材料ですよ。
間接材料費は直接材料費以外で覚えてよいでしょう。簿記検定では直接材料費については、「主要材料費」「買入部品費」と明確なキーワードで書かれているのでまず間違いません。だからその2つだけ直接材料費として覚えていただいて、その他は間接材料費として試験では対応する方が賢いです。あえてイメージするのなら塗料や接着剤などの補助材料、ネジや機械油、作業着などの消耗品とかが該当します。
-どうして直接材料費と間接材料費に分ける必要があるの?
よい質問です。実は直接材料費と間接材料費とでは取扱いが違います。
直接材料費は仕掛品勘定に直接賦課されますし、間接材料費は製造間接費勘定を経由して最終的に各製品に配賦されます。
-あれれ?間接材料費も最終的には仕掛品勘定に配賦されるんだろ?最初から仕掛品勘定でよくね?
あのね、仕掛品を製品名に書き直してイメージしてごらん。企業は常識的に考えて色々な製品を作っているだろ?だから本当は沢山の種類の仕掛品勘定が存在すると思っていいよ。ネジとかドライバーのような間接材料費は、通常は色々な製品の製造に共通して使っているものなんだ。だから製造間接費から沢山の仕掛品勘定に配分するようなイメージで覚えてね。
次に予定単価で材料費の計算をする場合をおさらいしよう。最重要論点の一つになります。
材料の払い出し計算で、先入先出法とか平均法とかその都度やってたら面倒臭いよね。一昨日は50kg出庫して昨日は80kg出庫して今日は70kg出庫して・・・いちいち計算してられるか!!それなら最初からまとめて持って行けよ!!って倉庫係だったら切れそうです(笑)
そこでとりあえず出庫単価を適当に決めます。適当って言っちゃダメだな、大体経験則からこんなもんだろうっていう予想単価を決めるんですよね。それを予定単価と呼んでいます。下記の図でイメージしましょう。
これだと、50kgとか80kgとか70kgとかチマチマ材料を出しに来ても計算は楽チンですよね。
だって出庫量にとりあえず@110円を掛ければいいだけですから。
この材料勘定は材料倉庫とイメージして下さい。材料を買ってきたら左側(実際額)、出庫したら右側(予定額)です。これのメリットは計算が早くなる、つまり原価計算が早く算出されるのです。特に総平均法なんてやり方で管理してたら月末にならないと正確な単価が出せないでしょ?月末まで投入された材料の金額が分からないって・・・仮にあなたのお給料が月末まで判明しないって会社に言われたらブチ切れません?
-あれ?上記では仕掛品、つまり直接材料費のことだと思うのだけど間接材料費は予定価格で計算しないの?
どうだろうね?もちろん間接材料費を予定単価で計算してもおかしくないけど、問題としてあまり見掛けた事が無いから無視でいいんじゃないかな?理屈は同じだから例え出題されても慌てずに対処しましょうね。
-そんな適当でいいの?
いいんです(笑)そもそもネジとか軍手とか消耗品をいちいち先入先出法とかで管理すると思うかい?気が狂うぞ普通。そりゃ月末には在庫は数えるだろうよ。使ってない物は原価にならないからね。でもそれら間接材料費の減耗とか真剣に把握しようと思うと大変だぞ。それなりの人手だって必要だろうし、人件費が嵩んで逆に原価を上げる要因になりかねない。だからザックリでいいんだよ。
はい、論破論破・・・(やれやれ)
それじゃ、次に実際に見積りの予定価格と誤差が生じた場合はどうなるのかみていきましょう。
月末に先入先出法を前提に実際消費額を計算してみましょう。
@100×100kg+@120×300kg=¥46,000
この計算は大丈夫でしょうか?しかし、帳簿上は仕掛品勘定に先に予定価格で¥44,000を振り替えていますので借方残高は¥26,000になっているはずです。本来(実際額でチマチマ計算した場合)は¥46,000で振り替えて借方残高は¥24,000になっているハズです。しかし、実際(というより帳簿上ですね)倉庫には¥24,000の在庫しか残っていない計算になりますから¥24,000に合わせないといけません。
(材料消費価格差異)2,000 (材 料)2,000
そこでこのような仕訳をします。現状では材料が¥2,000多く在庫として残っていました。言い換えると仕掛品勘定に振り替え不足が生じていた訳です。予定価格で計算した金額が甘かったのでしょう。
材料費は仕掛品を通じて製造原価になるのは分かりますよね?結局予定で計算した製造原価が2,000円少なく見積もっていたわけです。工場の懸命の努力で、10万円切りの99,000円で作れたと思ってた製品が、実は101,000円掛かってたみたいな(笑)
Ⅰ売上高 150,000
Ⅱ売上原価
1.月初製品棚卸高 0
2.当月製品製造原価 99,000
材料消費価格差異 2,000
------
101,000
3.月末製品棚卸高 0 101,000
------
Ⅲ販売費一般管理費 15,000
まあ、イメージ的にはこんな感じで最終的に当月製造原価を調整するよ。ちなみに予定価格で計算した材料費44,000円は上記の99,000円の中に含まれているハズだ。
予定したよりも多くコストが掛かっているから不利差異って言うんだ。借方差異とも言うね。よく上記の損益計算書を作る時に足すのか引くのか悩む方がいるけど、理解していれば感覚的に分かるよね。思ったよりも多くコストが掛かれば原価が増えるから・・・つまり最終利益が減るわけでしょ?不利差異ってのは利益を減らすからマイナスイメージって感じで覚えてね。
表記も、▲2,000とか-2,000とかで表現するよ。
それではまとめてみようか。
材料費を@110として予定価格で計算していた場合の材料勘定だよ。この誤差はあくまで価格の誤差だって事を強調しておくよ。数量面は実際の出庫数量で管理しているから誤差は生じないのですよ。左右ともに合計は600kgでしょ?それじゃ何がズレているのかっていうと予定単価と実際単価の誤差に実際出庫量を乗じた金額がズレているんだね。上図の価格差異は、本来(実際にチマチマ計算していた場合)だと仕掛品勘定に振り替えられていたハズなんだ。つまり製品原価になっていたということ。だから最終的に原価にしないといけない。
-それなら材料消費価格差異じゃなくて仕掛品勘定に後から振り替えればよくね?
それでもいいけど、結局月末まで仕掛品勘定が締められない訳だろ?それなら実際原価で最初からやっても同じ事になる。つまり、予定単価を使う意味がないんだよね。だからあくまでも微修正の意味で損益計算書に加減する方が良いんじゃないかな。工場はあくまで99,000円で製品を作ったんだ。たまたま材料が高騰したからってお前達は努力が足りないって言われたらやる気なくすよね。そんなイメージで覚えればいいよ。
-それ本当なの?(笑)
あのな、最初に言ったけど深く首を突っ込んじゃダメなんだ。それじゃ一歩も先に進まない。工業簿記・原価計算は屁理屈でもなんでもいいので、どこかで自分を納得させて無理矢理にでも先に進むことが大事なんだ。専門学校ではもちろんこんなこと教えないよ。でもな、経験則からこれは間違いない事実。信じるものは救われるんだぞ(笑)
最後に研究課題。もし、予定していた価格よりも実際には低い価格で材料を消費していた場合はどうなりますか?
これは不利差異の反対、つまり有利差異(貸方差異)になるよ。実際の価格以上に製造原価に振り替えていたんだからどういう処理をするか想像して考えてみてね。
それでは次の論点である材料の棚卸減耗費を調べてみようか。
棚卸減耗費は月末に実際に帳簿上にあるはずの数量が足りない場合を言うんだ。これは予定単価で計算しようが実際単価で計算していようが価格面のお話ではないことは理解出来るよね。月初に100kgあって、仕入れが500kgあったとする。倉庫からの出庫は実数で管理しているので、400kgを月中に出庫していたら月末には200kg残っていないといけないわけだ。それが190kgしか残って無かったら・・・あれ?ってならないか。
素材が食べ物だったら倉庫係が怪しい・・・あいつ食ったんじゃねーかみたいな。特に管理人はやしに食べ物を扱わせるのは止めておけってのはセオリーらしい。いや、そんな事は置いといてだな、何らかの事情で材料が帳簿上残っていない場合はあるんだ。こんな場合の処理をどうするか。材料勘定は残高24,000円で締めようと思ってたら問題発生。やれやれだな。
(製造間接費) 1,200 (材 料)1,200
結論から言うとこの消えた材料は製造間接費として処理する。先入先出法を採用しているのなら@120円に消えた10kgを乗じて¥1,200になるのは大丈夫かな?製造間接費に振り替えるってことは、最終的には仕掛品勘定に振り替えて製品原価を構成することになる。ただ、あくまでも通常発生すると見込まれるものだけなんだ。
-棚卸減耗費は予定単価で計算しないのですか?
減耗は月末に棚卸をして把握するものだから予定単価を使う意味がないよ。だって月末になれば材料の払出単価はほぼ確定している訳だからね。
-あれれ?月末に把握する棚卸減耗損を製造間接費にするんだよね?つまり仕掛品に結局振り替えるってことは・・・月末まで仕掛品勘定が締まらないから原価計算が遅れて意味なくね?
まあ、普通は製造間接費も予定配賦しているよね(笑)
-結局400kgで製品を作るはずだった直接材料費は410kgで作った計算になるんだよね?それなら製造間接費じゃなくて仕掛品に振り替えた方がいいんじゃね?
何度も言うけど仕掛品勘定はさっさと締めて当月製品製造原価は確定したいんだよね。そうじゃないと予定計算する意味がないんだよ。だから最終的には材料消費価格差異や賃率差異、そして製造間接費配賦差異は売上原価を直接調整するんだよ。
ここで材料棚卸減耗費についてまとめるよ。
まず月末材料は実際有り高の190kgで計算して繰り越さないといけないこと。その為に差額の10kg分を減耗費として製造間接費に振り替えます。右、左ともに600kgですよね!
さあ、いよいよ最後の論点。材料副費について調べてみよう。
材料副費には外部副費と内部副費があるんだけど違いは分かるかな?
材料外部副費 ・・・ 引取運賃や買入手数料が該当します。
材料内部副費 ・・・ 保管費など倉庫での管理費用
材料内部副費は出題実績が極めて少ない(っていうか第98回以外で見た記憶無い)ので無視してもいいけど、決して難しくないし出題されたらパニックになるのでサラッと流して聞いて欲しい。このような材料副費は付随費用と呼ばれているんだけど、材料の購入代価に付随費用を加算した金額を材料の仕入原価として処理するのが通常なんだ。ちなみに材料外部副費は倉庫の納品するまでの費用、材料内部副費は倉庫内で発生する費用とイメージしよう!!
(例題)材料500kgを@115円で掛け購入し、引取運賃2,500円は現金で支払った。
(解答)
(材 料) 60,000 (買掛金) 57,500
(現 金) 2,500
これが解答になります。
500kg×@115+2,500=60,000ですよね。
ただ、管理費などの内部副費は購入時点では金額が判明しないのが通常です。これらを材料費に含める場合は予定計算することがあります。
(例題)材料500kgを@115円で掛け購入し、購入代価に5%の材料副費を予定配賦して計算している。
(解答)
(材 料) 60,375 (買掛金) 57,500
(材料副費) 2,875
いかがでしょうか。また、予定配賦かよ!!怒りの声が聞こえてきそうですね(笑)
材料副費とか見慣れない勘定が出てきましたが今のうちに慣れておきましょう。試験でいきなりこんな勘定科目が出てきたら頭が真っ白になりますよ。でも何ら難しくないでしょ?
(例題)月中に材料に関する引取運賃、管理費が¥3,000発生し小切手で支払った。
(解答)
(材料副費) 3,000 (当座預金) 3,000
この仕訳は大丈夫でしょうか。
実際には予定配賦額と実際発生額とで差額が生じますので、材料副費配賦差異に振り替えます。
結局色々な勘定科目が出てくるけど、予定配賦は処理自体は同じ事をやっているんだよね。
つまり、価格を予定単価で計算していること。そして実際額との差額は最終的に売上原価で調整すること。このルールはしっかり守れば大して怯える必要もないんじゃないかな。これから練習問題を解いてもらうけど、少々発展形になっても対応出来るようマスターして欲しい。
いかがかな?いきなり最初の問題から戸惑ったのではないでしょうか(笑)
実はここまで触れてなかった重要論点なんだけど、主要材料を無償支給して加工を依頼する場合の加工賃は直接経費になります。これは材料費の論点というよりは経費の論点なんだけど、1と2はセットで覚えるといいね。ホントよく出てくる項目なんだ。散々学んだとは思うけどね。
-3の材料副費の問題が難しかったな。
これは材料副費のフルパターンと思って覚えておくといいよ。実際に第98回ではこのパターンで出題されている。これは知っていなくても解けそうな気もするけど、知っていれば大きなアドバンテージになるね。イメージ的には予定配賦額で計算するのは内部副費じゃないかと思う。外部副費は倉庫に納品するまでの付随費用だからそんなにタイムラグは無いしね。
これだけやっとけば材料費は鉄板だろう。本当に頑張ってくれ!!
例え予想が外れてもいいじゃないか。覚えた知識はいずれは開花して報われると思うよ。予想が外れたからって嫌がらせの書き込みとか投稿するのは止めましょうね(;´Д`)