決算について

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目次と旧簿記講座

目次

  • ガイダンス
  • ようこそ!簿記の世界へ
  • 単式簿記とは
  • 複式簿記とは
  • 貸借対照表
  • 損益計算表
  • 当期純利益の計算
  • 取引と仕訳
  • 勘定
  • 試算表
  • 精算表
  • 決算整理
  • 帳簿の締め切り
  • 帳簿の開始記入

旧簿記講座

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決算とは何か

決算の概要

皆様、こんにちは。いよいよ10日目ですね。ここまで来ればあと一息です。今回は決算を見ていきますが、内容は最後の集大成らしく非常に高度な内容になってきます。しかし、ここでは簡単に全体像を触れる程度にしたいと思います。詳しい内容は別の機会にでも教えることが出来ればいいなと思ってます。さて、決算(けっさん)とは日常生活でもよく耳にすると思うのですが、一体何なんでしょうか?決算って何となくカッコいい響きがしませんか?そう、決算は簿記会計において最も重要なイベントなのです!
具体的には会計期間と当期純利益を以前学んだと思うのですが、会計期間を人為的に区切ることにより会社がどれだけ儲けているのか計算することが簿記の目的の一つだとお話しました。そう、それが決算作業なのです。そして人為的に区切ったその日のことを決算日(けっさんび)と呼んでいます。つまり決算とは決算日における一定期間の儲けを計算することと、企業財産である純資産、つまり財政状態を明らかにする作業なのです。具体的な内容は別の機会に触れてみたいと思いますが、ここではより正確な期間損益計算を行うために細かく計算する項目があるんだと思って頂ければ十分だと思います。
決算日の損益計算
決算手続きを行うにあたっては、まず期末の残高試算表を作成することから始めます。この残高試算表を元に貸借対照表と損益計算書を作成するのですが、実は強引?!に会計期間を区切ったことにより決算整理と呼ばれる処理が必要になることがあります。この修正を加味して整理後の残高試算表を確定させます。確定すると総勘定元帳の各勘定を締め切って、かつ、貸借対照表と損益計算書を作成していきます。この一連の手続きを決算と呼ぶのですが、その一連の手続きの流れを一覧表にしたものを精算表(せいさんひょう)と呼んでいます。精算表については11日目(次回の講義)で学んでいくことにしましょう。

決算整理について

決算では決算特有の決算整理事項があります。これを決算整理前残高試算表に加味して貸借対照表や損益計算書を作成していくのですが、この決算整理事項にはどういったものがあるのでしょうか。これは例えば期中に計算されることが無かった売上原価を計算したり、相当期間先払いしていた保険料などの費用のうち当期分のみ計算したり、現金の帳簿残高と実残高に誤差が生じた場合には調整したり、建物や機械などの固定資産を保有していた場合にその一部を費用化(減価償却)したりして、一会計期間のより正確な儲けを計算するのです。細かい内容は別の講義でお話できればと思います。何度もくどいようで申し訳ありませんが、決算では損益をより正確に計算する手続きだと理解していただければここではよいかと思います。
保険料の決算整理
上記は一例ですが保険料を前払いで支払った場合です。例えば2年分の保険料を先に支払った場合と毎月その都度支払った場合では期末の保険料勘定の金額が変わってしまいます。支払い方法が変わると損益が変わって儲けの金額に影響を与えるのはよくありません。また、厳密には当期分に対応する金額だけで計算するのが直感的にも正しいと思いませんか?
決算で損益の調整が必要だ

決算振替と帳簿の締め切り

決算整理が終わると今期の取引は全て終了。いよいよ帳簿を締め切って貸借対照表と損益計算書を作成するのですが、まず収益や費用の各勘定口座は、損益勘定と呼ばれる集合勘定に集計されて当期純利益を算出します。以前、財産法と当期純利益でも学びましたが、当期の儲けである当期純利益は当期の純資産である元手を増加させます。つまり損益勘定で確定した当期純利益は、そのまま純資産である資本金勘定に振り替えるのです。この辺は図解で説明した方が理解がしやすいかと思います。
損益勘定へ振り替え 当期純利益の算出 当期純利益の振替
詳しい内容は第12章で学んでいきたいと思います。特に資産・負債・資本の各勘定を締め切る場合には「大陸式決算法」と「英米式決算法」の2種類あるのでそれぞれ締め切り方が異なります。また、費用と収益の各勘定口座は集合勘定である損益勘定に振り替えると同時に全てリセットされます。つまり期末と同時に儲けである当期純利益を確定し、翌期は費用も収益もまたゼロからスタートするのです。一方、資産・負債・資本の各勘定口座は、決算で締め切りと同時に残高勘定に振り替えたその金額が翌期に繰り越されます。なので期首における損益計算書は常にどの勘定科目も期首残高はゼロなのです。
残高勘定へ振替
当期純利益を資本金に振り替えたことで、残高勘定の貸借も完全に一致します。不思議な感じがすると思いますが、期末の純資産額と期首の純資産額の差額も儲けとして計算できることは以前の財産法と当期純利益でもお話しましたよね。つまり損益勘定で求めた当期純利益は、当然期末と期首の純資産額の差額と一致するはずですから、損益勘定からの振替によって貸借が一致しないとおかしいことになります。つまり帳簿の検証性を確認することが出来るのです。
資産・負債・資本の締切
イメージとしては、企業をスポーツ選手で例えると良いでしょう。つまり、貸借対照表の内容である資産・負債・資本は、身長や体重など企業の体力数値を表し、損益計算書の内容である収益・費用は記録を表していると言えます。記録は大会(会計期間)ごとにリセットされますが、体力数値(財政状態)はそのまま次の大会(会計期間)に引き継ぎますよね(笑)また、集合勘定である「損益勘定」も「残高勘定」も相手科目に諸口(しょくち)は使わないルールがあります。帳簿の締め切りについては第12日目でまた詳しく見ていきますので、大体の勘定の流れを図解でつかんでいただければここでは結構だと思います。