簿記検定・税理士受験生の常識バイブル-第3回-

チェック

科目と合格に要する負担

  • 簿記論・・・1
  • 財務諸表論・・・1.1
  • 法人税法・・・1.5
  • 所得税法・・・1.5
  • 相続税法・・・1.2
  • 消費税法・・・0.8
  • その他税法・・・0.4~0.7

簿記論を1と仮定した場合の各科目の合格までに必要とされる時間の目安を表す。

過去のバックナンバー

本試験を解く前にやって欲しいこと、絶対にやってはいけないことなど特集。

税理士試験の科目選択についての特集。

税理士試験の1日の勉強時間ついての特集。

試験問題の難易度が過去と比較して上がっているのかについての特集。

日商簿記検定1級と税理士試験簿記論はどちらが難しいかについての特集。

  • 第6回
  • 古いテキストはそのまま使えるのかについての特集。

    参考(廃刊)

    旧税理士受験生の独り言廃刊になりましたが、参考ということで残しておきます。



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    税理士試験の勉強時間について

    税理士試験を受験される方に、「1日何時間勉強していますか?」と質問される方は多いです。

    税理士試験は競争試験ですから周りの受験生と勉強方法を巡って比較する事はとても有意義ですね。なのでこの質問自体の方向性は間違っていませんが、参考程度にしておいた方が良さそうです。と言うのも、勉強時間の長短よりもどれだけ知識とテクニックが頭に入っているのかが重要だからです。がむしゃらに1日8時間も10時間も勉強しても、1日に2時間しか勉強していない人に負けることだってあるんです。信じられませんが、本当にそんな事があるのでしょうか。

    まず税理士試験の特徴として、科目合格制を認めている事。また受験資格の緩和もあったことから、学生から社会人に到るまで老若男女とても幅広い層の受験生が存在している事が挙げられます。つまりこれだけ色々な層の受験生がいるので、一概に勉強時間の要素だけで比較してもあまり参考になるとは言えないかも知れません。

    今回は勉強時間の長さよりも、効率の良い勉強方法のやり方について考えてみることにしましょう。

    専門学校は最良のペースメーカー

    税理士試験を初めて勉強される方は、なかなか1年間の過ごし方というか学習計画の立て方に対して難しいものがあると思います。ほとんどの方は専門学校で受講していると思うので、その前提でお話しするとまず専門学校のカリキュラムに遅れないようについていくように心がけて下さい。これが一番です。途中、こんなんで本試験までに合格レベルに達するのだろうか?と不安意なる時期が来るとは思いますが、全然心配無用です。8月になれば確実に合格レベルには達しています。授業に遅れないように最後の講義まで出席する・・・簡単のようで凄く難しいんですよ。何故なら一度置いていかれたら、間違いなくもう追いつく事は無いと断言してもいいくらいに厳しいんですよ。

    100m走のような短距離レースでしたら何も考えずに一生懸命走るだけでいいのですが、税理士試験のようなマラソン型の長距離走になるとそうはいきません。つまりゴールまでのペース配分はとても重要で、一息入れる場所、スパートをかける場所などは、長年のノウハウを持っている専門学校の講義計画表をペースメーカーとして常に意識してください。

    専門学校の進捗度を意識して、遅れ出したと感じた場合は相当焦って下さい。少しでも遅れたら正念場です。滅茶苦茶焦って下さい。先程も言いましたが一度遅れだすと追いつくのは至難の業なのです。遅れたその瞬間に、合否の分かれ目が自分に降りかかっている状況だと認識しなければなりません。「今度の連休で取り返せればいいや」など思わないで下さい。取り返せるのは甘く見積もって年内までですよ。

    通信講座の利点

    以前は通信講座というとあまりいいイメージを持っていませんでした。通学だと授業に遅れると出席しづらい雰囲気があって、それがかなり自分にプレッシャーとなって押しかかるのですが、通信講座だとペースに遅れてもそんな事はないのでついつい自分に甘えてしまい途中でリタイヤしてしまう受験生が多いのです。一説によると通信講座の場合、最後まで受講される受験生は数パーセントだとか。真偽は定かでありませんが、私も通信に関しては恥ずかしながら何度もリタイヤしているのでよく分かります。ただ、受験生にも色々なパターンの方がいて、多少遅れても追い込みが効くタイプの受験生もいます。つまり土日に一気にやる、又は、受験経験済みで最後の数ヶ月だけ一気にやる方などは専門学校のペースだと自分のリズムに合わないと思います。

    そんな方は通信講座を考えてみられてはいかがでしょうか。通信講座というと近所に専門学校がない地方在住の方のための講座と思われますが、決してそんな事はありません。最近の通信講座は以前と違って映像をDVDやWEBで手軽に見れる上に、映像のスピード調整が出来たりレジューム機能があったりなかなか使いやすく工夫されています。時間の無い社会人などは講義を細かく切って、毎日30分ずつとか学習することも可能ですし、以前のような通信講座とはガラッと色合いが変わっています。個人的には通学講座よりもより時間を効率的に使える通信講座の方が、計画性と実行性を備えた方にはお勧めしたいくらいです。

    勉強時間のほどんどは復習の時間

    税理士試験の勉強は1日の勉強時間よりも何回転復習させたかが重要だと思います。

    ほどんどの人間は新しく覚えた内容のほどんどを数日すれば忘れてしまいます。むしろ忘れるのは普通で、なかなか1回の授業で全て脳の記憶にインプットするのは無理があります。そこで重要になってくるのが復習なのです。どうせなら1日の勉強時間よりも、同じ項目を何回転復習したのかにこだわって欲しいです。エビングハウスの忘却曲線など知っている方もいると思いますが、脳は時間の経過と共に覚えていった事が記憶から消えていきます。しかし、忘れそうになる頃に復習してケアをし、これを何度も繰り返す事によって完全に脳に定着して、むしろ忘れたくても簡単に忘れられなくなってしまいます。つまりこの状態になるまで復習は繰り返すことにより効果があるのです。

    大体、完全に脳に定着させるには3~5回転は見直さないと脳に記憶として定着されないと思います。もちろん個人差もあって、記憶力のいい人は2、3回転で十分の方もいるでしょうし、年配の方は平均よりももう少し回転させなければ記憶が定着しないかも知れません。だた、一般的には授業があったその日のうちに1回見直し、2・3日後に1回見直し、1週間後に1回に見直し、1ヵ月後に見直し、更に3ヵ月後に見直すとほぼ長期記憶化されます。これだと5回転ですが、私見ですが見直しはテキストを流し読みする程度のものでよいと思います。問題を解くにしても同じ問題を5回を解くのは効率が悪いと思っていますし、時間もなかなか取れないと思います。なので2回は完全に解きなおして、3回目以降は実際に解かないで問題と解答・解説を同時に見ながら流すだけでもいいと思います。極端な話、間違いノートや間違えた箇所をメモなどしている場合はそれを見るだけでも全然違います。問題自体は忘れていてもそのメモで問題の出題意図やら解答やら全てを思い出します。ただ、形はどうであれ普通の方なら見直す作業は3~5回転は必要かなと思います。税理士試験の勉強時間はこの復習の時間がほとんどを占めると思います。

    結論は勉強した時間よりも計画と実行の徹底

    結論としては1年間の計画を立ててしっかりペースを守れば勉強時間数は関係ないと思います。

    一番いけないのは、毎日3時間勉強するぞ!と決めたのはいいのですが結局机の前に座ってただけでは意味がないということです。勉強時間数にこだわると机の前にいるだけで満足してしまう危険性があります。これならやらない方がマシでしょう。なので、勉強を始める前に今日は何をすべきか、また、どこまでやるべきかを事前に決めてから取り掛かるのが良いでしょう。毎日勉強時間が不定期な方もいると思います。例えば30分しか勉強時間が取れない場合は30分の勉強計画を立て、また1時間取れる場合は1時間に見合わせた勉強計画を立てて勉強するのがいいです。そしてその計画を目標にやってみましょう。1時間の目標の勉強量が30分で出来たらそれはそれでOKで、無理してもう30分勉強する必要もないかと思います。もし、5分しか勉強時間がなくても5分なりの計画を立ててやってみましょう。だらだら1時間やるよりも濃密な5分間の方がよっぽど身に付きます。

    なので漠然と1時間勉強するぞと始めて1時間経ったらその時点でとりあえず止めるかぁ・・・みたいなそんな行き当たりばったりの勉強方法はお勧めできません。

    税理士試験はその特性から限られた制限時間内で段取りよく計画を立てて解いていくのが合格の秘訣じゃないかと思われます。なのでこうした訓練を普段から積んでおくと必ず本試験では効果は必ず出ます。

    さあ、どうでしょう。あまり1日の勉強時間なんて関係ないと理解できたでしょうか。そもそも1回の講義で全て頭に入ったら、復習などする必要もないのでほとんど勉強しなくてもいい訳で、逆に記憶力が弱い方はやや復習の回数を増やさないといけないので必然的に勉強時間も増えるでしょう。また受験生も十人十色で、どうしても何でもかんでも書かなきゃ頭に入らない人もいますし、逆に読むだけですんなり頭に入る人もいます。必然的に勉強時間も違ってくる訳で他人の勉強時間数はあまり参考にはならないですよね。

    以上の事を踏まえて税理士試験の理解を深めて各々に合った勉強方法を構築して下さいね。